8月某日。kitayaの定例ミーティング。
藤本 夏休みだ!
北村 夏休みではないけどね。
藤本 仕事がないぜ! やったあ!
北村 やったあなんだ。
藤本 僕仕事嫌いなんですよ。
北村 知ってますよ。
藤本 仕事がないんですよ? 最高じゃないですか。
北村 会社としては危機的な状況ですよ。
藤本 でも遊びに行きたいとも思わないくらい暑い!
北村 そうだね。
藤本 仕事でもいいから涼しいところに呼ばれたい……。
北村 精神が忙しいね。
藤本 暇なんですけどね。
北村 そう? あいかわらず書類作ったりで暇でもないよ。
藤本 まあまったくなにもやってないわけではないですが。
北村 モノレール小説も始まったしね。
藤本 おかげさまで、なかなかいいスタートを切ることができまして。
北村 キタキュースタイルさんに扱っていただいたのが、なんか反響いいね。
藤本 ありがたいです。
北村 ああいう地元密着型のメディアがあるっていうのはいいよね。
藤本 あ、ただ1点、お詫びと訂正がありまして。
北村 なに?
藤本 以前、モノレールの改札の外に設置されているとお伝えしていたのですが、改札の中でした。
北村 平和通駅以外は改札の中なんだよね。
藤本 すみません、情報を間違って伝えてしまっておりました。
北村 すみません。あれなんですかね、モノレールに乗車する親子のお話なのでぜひその気分をモノレールに乗車して味わってね、というメッセージなんでしょうかね?
藤本 どうなんでしょうね。以上! 今月のkitaya終わり!
北村 いやいや、せっかくだから話をしとこうよ。
藤本 何のですか?
北村 『ルーーープ!』の。
藤本 あー。
北村 これ一応まだ続いてるので。
藤本 そうですね。クラウドファンディングもだけど、並行して進めてるものがありましたね。
北村 せっかくだから、余裕のある今月のうちに弊社の社運も懸かってる『ルーーープ!』についてもうちょい話しておこう。
藤本 そうですね。
北村 そもそも「なぜ子ども向けの演劇作品を作ったのか」っていうことからなんだけど。
藤本 あ、そこからいきますか。
北村 まあ一部クラウドファンディングのサイトにも書いてあることではあるけど、なんでこのタイミングでこういうことをやったかっていうのを、もうちょい詳しく話しとこうよ。
藤本 はい。
北村 もともとうちが会社つくって10年くらい経ちまして。
藤本 経ちましたね。
北村 会社として「仕事」っていうのをつくりださないとなあ、と。実演者じゃない我々が出来ることというか、やらないといけないことって、仕事をつくってみんなにお金回すことだなあっていうのが常々ありまして。
藤本 経営者だなあ。
北村 そのへんちゃんと考えてるのよ。
藤本 まあ知ってますけど。
北村 っていうのと、アルモン(有門正太郎氏)とイマタカ(今村貴子氏)となんかしたいなあっていうのがあった。ふたりとも、別々にお付き合いはしてたんだけど。
藤本 カンパニーの公演制作で入ったりとかですね。
北村 あと、ふたりともワークショップとかアウトリーチ(※1)とかに慣れてて、学校の現場の様子を知ってたというのがあって、ふたりからそういう話をちょくちょく聞いてたので、「たぶんいま学校教育の現場に、芸術を活用したコミュニケーション教育みたいなのの必要性が高まってるんだろうなあ」とは思ってた。
藤本 功治さんもそういうこと思うんですね……。
北村 一応僕もそういうこと思うんよ。
(※1)アウトリーチ 直訳すると「外に手を伸ばす」といった意味合いで、この場合は学校で演劇やダンスなどの出前授業を行うこと。 |
北村 で、アルモンもイマタカも似たようなことは考えてたみたいで、だったらいっしょに組んでなにかやれないのか、みたいなのを、去年の今ごろくらいに話したのかな。
藤本 それが1年弱で『ルーーープ!』という作品になったのか……。
北村 まあここまでとんとん拍子に行くとは最初は思ってなかったけど。
藤本 いろんなラッキーがありましたからね。
北村 ラッキーというか、アルモンとイマタカの実績のおかげではあるけど。
藤本 そうですね。
北村 実績はふたりのほうが何倍もあるから、ふたりが主導して作品をつくってもらうとして、うちができることっていったら環境整備、補助金とか助成金とか見つけてくるとか、制作的なこととか、あとお金が足りないってなったら、うちは法人だから立ち上げに必要なお金はとりあえず工面できるとか、そういうところかなと思ったので、そういう役割分担でやれればなあっていうのは考えてた。
藤本 「金なら出す!」と。
北村 「金なら出す!」と言い切れるほど資金が潤沢にあるわけじゃないけど、実演者が主体的に行う創作とは別に、うちみたいな制作屋さんが担うところが合致することでやっと仕事になるのかなあと思って。だったらまあ、そこはうちに任せてくれ! みたいなのはあったかな。
藤本 でもまあ多くのクリエイターが、「お金だけ出して口は出さないところがほしいなあ」と思ってるとは思いますよ。
北村 できればそうなりたいけど、これは助成ってわけではなくて、いわば3者で組んでの「一大事業」みたいな感じだから。「この事業はこっちに行きたいです」っていう方向性や枠組みみないなのはきちんと示せるようにして、判断に困るようなことがあったら、方向性を示す立場として「うちが責任取るからちゃんと確認しながら進めましょう」みたいには出来たんじゃないかと。
藤本 実はカッコいい立場やんけ……。
北村 って言っても、アルモンとイマタカだから、そんな変なことにはならないはずっていう信頼もあったしね。
藤本 それに、アルモンさんもちょこちょこ確認してくれてましたからね。「俺はどっちでもできるけど、どうしたいか言ってくれたらそっちでつくるよ」みたいな。
北村 そうそう。そういうところしっかりしてるからね。
藤本 アーティストかつ職人っていう感じでしたね。
北村 アルモンとイマタカはもちろんのこと、今回の座組はほんとうに素敵な方々ばかりだったね。
藤本 大人でした。
北村 同じ方向向いてくれてる、っていう現場だったね。
藤本 でまあ、そういうメンバーで創作をしました、と。
北村 初めから、「この演目はできれば中長期的にやりたい」って言ってて、関わってくれたひとたちも最初からそのイメージを持ってくれてたから、それもよかったんだと思う。
藤本 うまく言えませんが、そのさじ加減の違いみたいなのはありましたね。
北村 普段携わる「小劇場」とカテゴライズされてるフィールドとはちょっと違うっていうのを、みなさんが自然と理解いただいてた感じだったね。
藤本 そうそう。それに、「劇場じゃないから今回はこの程度でいいや」みたいな妥協とかはなくて。
北村 「いつか体育館でもやるかもしれないから、こうした方がいいのでは」って先を見据えた意見が自然と出るような稽古場でね。
藤本 そういう、未知の将来も頭の片隅に置きながらつくるっていうのがありましたね。
北村 言語化できないけど、そういうのが作品の強度に繋がるんだろうね。
藤本 とまあ、最初から「この先もやるつもりである」というのを明確に持った作品づくりだった、ということで。
北村 そんで、ちゃんと強度があるものができたと。
藤本 そうでしたね。
北村 それが西門司市民センターさんの大きな協力のもとで日本初演をやらせていただけて。
藤本 日本初演!
北村 まあワールドプレミアでもいいんだけど。
藤本 ワールドプレミアかあ……。
北村 そのワールドプレミアが大好評で。
藤本 これも西門司市民センターさんのご尽力のおかげですが。
北村 でね、まあ近くの学童の児童さんたちが来てくれてあっという間に満席になったんだけど、きみこれ(アンケート)読んだ?
藤本 読みました。これはもう泣いてしまう。
北村 泣くね。僕もちょっとグッと来たもん。
藤本 どんなアンケートかというと、劇中に「学校生活を上手に送るための秘伝」みたいなのが出てくるんですが、「キミだけの秘伝を教えて!」みたいなのを、絵日記っぽく描いてもらうというやつで。
北村 このアンケートがほぼ100%なんじゃないってくらい返ってきて。
藤本 それだけでもうれしいのに。
北村 ね。それで、いろんな秘伝描いてくれてるんだけど、裏面に感想びっしり書いてくれてたり、「また見たい」って書いてくれてたり……
藤本 目がうるんでるやん。
北村 ほんと、なんか、やってよかったね……。
藤本 自己満みたいになってるぞ。
北村 まあウルッとくるのは自己満足みたいなのかもしれないけど、でも、これほんとに、こういうことがやりたいと思って最初に思い描いたイメージの通りなんだよね。
藤本 でもほんとに、60分くらいのお芝居を見た後で、こんなにのびのびと絵とか言葉とか書いてくれるっていうのは、「あ、届いた!」っていう実感が持てましたね。
北村 そういう意味でも、ほんとやってよかった。
藤本 いやあ、ほんとこれはまだどんどんやっていきたいですよね。
北村 そうそう。絶対やりたい。とはいえ、これが自走するような仕組みもつくらないといけない。
藤本 それが今後の制作としての弊社の課題ですね。
北村 まさかこの歳で演劇作品の創作に関わって、こういう思いをするとは思わなかったなあ……。
藤本 会社つくるとこういうことができるのか、っていうのは思いましたね。
北村 最初うち3年で潰れるかもとか言ってたのにね。
藤本 がんばってるなあ……。
北村 決して儲かってるわけではないのにね。
藤本 不思議〜。
北村 いま、クラウドファンディングしてくださったみなさんにも胸を張ってなんらかのご報告ができるように準備してるところなので、もう少々お待ちください。
藤本 クラウドファンディング、8/20までで終了です。
北村 これまでご支援いただいたみなさん、ほんとうにありがとうございます。
藤本 ほんとに、めちゃくちゃありがとうございます。
北村 きちんと作品の上演を重ねていくことでお返ししたいと思います。
藤本 ほんとそれだ。がんばります。
北村 「夏休みだ!」とか言ってる場合じゃないのよ。
藤本 仕事します!