2026年4〜5月のkitaya

4月某日。吉野ヶ里の北村実家(※1)にて。

※1)吉野ヶ里の北村実家
吉野ヶ里在住の方と打ち合わせすることになり、そのまま吉野ヶ里にある北村の実家に泊まることになった。藤本は2009年に二番目の庭の公演で泊めていただいて以来、17年ぶり2度目の滞在。3度目、4度目がすでに年度内に計画されている。

北村 おにぎりがさあ……
藤本 またその話ですか?
北村 いま220円とかすんのね。びっくりした。
藤本 先月おにぎり180円の話してましたけどね。
北村 180円台のやつもあるけどさ。
藤本 ガソリン飲んだ方が安いですよね。
北村 1ℓ飲めるしね。……そんで、なんだっけ?
藤本 なんの話もまだしてなかったですけど。
北村 あー、昨日の打ち合わせの話しようと思ったんだった。昨日はおもしろかったね。
藤本 そのあとの飲み会はすごかったですけどね。
北村 かなり酔ってたね。
藤本 日本酒をウォッカみたいな飲み方で飲むやつ、初めてやりました。……確実に10杯はウォッカ飲みしたな。
北村 あんな飲み方があるんだね。
藤本 今後が不安だなあ……。
北村 まだあと何回か吉野ヶ里に来ることになりそうだもんね。
藤本 そうですね。
北村 「今月のkitaya」に書くんなら詳しいことはまだ公表できないけど、演劇とかダンスとかとはちょっと違うお仕事になりそうで。
藤本 そうですね。
北村 梅雨くらいの時期には情報公開できるんじゃないかと思うけど。
藤本 割とすぐだなあ。
北村 業界が違うと新鮮な考え方が聞けておもしろいでしょ?
藤本 そうですね。飲み方も全然違うし。
北村 飲み方の違いは、所得の差かなあ。
藤本 世知辛い理由……。新しいお仕事の予告のほかに、なんかアピールしときたいことないですか? なければ今回はもう終わろうと思うんですが。
北村 早いな。
藤本 二日酔いなんで……。
北村 かわいそう。うーん……アピールっつってもなあ……いま仕事ないからなあ……。
藤本 かなしい……。
北村 あ、そうだ、小規模事業者持続化補助金のことがあった!
藤本 あー。
北村 今回初めて申請しようと思っていろいろやって準備してるんだけど。
藤本 結構ボリュームありますね。
北村 そうね。でもこれかなり勉強になってる。
藤本 どういう部分がですか?
北村 舞台芸術って「儲けたらダメ」みたいな考え方があるじゃない。
藤本 うーん、まあ、はい。
北村 「儲けたらダメ」っていうか、助成金は基本的に「赤字をいくらかカバーしますよ」っていうのが多い。
藤本 そうですね。
北村 舞台芸術の助成金に申請する場合は、基本的には黒字になるなら申請できないのよ。まあ「助成」という趣旨からしたら当然なのかもしれないけど。
藤本 そうですね。黒字出るなら助成金いらないだろっていうのが普通ですね。
北村 でもさ、いま申請しようとしてるこういう補助金って「儲けなきゃダメ」なのよ。
藤本 ああ、確かに。
北村 「補助金もらったら、こういう事業をやって、こういう道筋で、ここまでにこれだけの黒字を出しますよ」っていうことをきちんと書かないとダメなわけで。こういうのって、舞台芸術の助成金の書類ではまず書かないでしょ。
藤本 そうですね。
北村 舞台芸術作品を持続的につくり続けるには、息切れしないようにお金を得ないといけないはずなのに、この業界ではそこをカバーする助成金・補助金ってまずないでしょ。コロナのときは多少そういうのもあったけど。
藤本 そうですね。
北村 産業として考えるなら、普通は赤字になりそうな事業プランにはまずお金なんか出ないからね。おそらく舞台芸術みたいな無形文化材は、「儲からないが絶やしてはいけない」っていうギリギリのサポート(助成・補助)の仕方になるんだろうね。
藤本 舞台芸術のロジックをそのまま持ってくると、産業的な補助金は採択されない内容になりますよね。
北村 普段の我々と真逆の考え方で申請書をつくるっていうのはかなり興味深かったね。
藤本 商工会議所の方もかなり細かくつっこんでくださるし。
北村 そうそう。そういう、「舞台芸術以外の視点」からのツッコミが入るのもありがたいよね。「何年で回収できるんですか?」みたいなこと言われたり。
藤本 「この数字の根拠は?」みたいなのは結構ありますね。
北村 我々が当たり前に計上してる予算も、そうか、きちんと説明しないとわかってもらえないぞっていうのがあったりね。
藤本 側(はた)から見るとかなりわかりにくいですよね。
北村 「公演料? とは?」みたいなね。
藤本 説明も難しいですよね。
北村 劇場に作品売り込むのとはわけが違うからね。
藤本 まあ普通に考えると「なんでそんな、儲からないことをわざわざ会社でやってるんですか?」という感じですよね。
北村 だろうねえ。
藤本 そういう意味では、このタイミングでいい経験してますよね。
北村 そうね。
藤本 この数年で、kitayaも「市場に支持されるものをつくりたい」という考え方になってきてますからね。
北村 そうだね。なかなかそこに行けないけど。
藤本 社会の中で必要とされているものをつくりたい、それで適切な対価を得て暮らしていきたい、ということなんですけど。
北村 それがムズい。
藤本 なんか芸術という枠組みではこの考え方が邪道というか、
北村 「儲けようとするなよ」みたいなのはなんとなくあるよね。
藤本 ですね。
北村 我々は、良い作品に儲かる仕組みをくっつけたいだけなんだけどね。
藤本 身内にこそなかなか伝わりにくいですね。
北村 そしたらもうケバブ焼くしかないよね。
藤本 またその話かあ……。
北村 実際今回の小規模事業者のやつも、「舞台芸術は儲からないのでケバブ屋やります」っていう内容で書いてるしね。
藤本 「キッチンカー買います」つって。
北村 「バイト5人雇います」。
藤本 「賃金爆上げします」。
北村 次回出すならそっちだろうなあ……。
藤本 次回ほんとにそういう内容で出したら、今回担当してくれた方も悲しい顔するでしょうね。
北村 「持続化補助金で事業持続できなかったんですね……」って。
藤本 「はい……」。
北村 「ケバブなら持続すると思うんです」。
藤本 なんかどっかケバブ屋舐めてますよね?
北村 舐めてないよ。
藤本 あ、そういえば意外とここ(今月のkitaya)読んでくれてる方がいるんですよ。
北村 そうなの? どういう方が読んでるの?
藤本 たまに会うような方とか、ずいぶん会ってない方とか。
北村 あー、ここが我々の近況報告になってるのか。
藤本 そうみたいですね。
北村 そういうつもりじゃなかったけど、なるほどなあ。
藤本 それでこの前、ひさしぶりに連絡取ったひとから「いつケバブ屋やるか気になってます」とか言われましたよ。
北村 ケバブ屋は、まあ……夏くらいじゃないかな。
藤本 結構すぐだな。
北村 次の持続化補助金もらう前にケバブ屋始めとかないといけないから。
藤本 忙しくなるなあ……。