山田恵理香(空間再生事業 劇団GIGA)インタビュー

2017.04.28

空間再生事業 劇団GIGA(福岡)が2017年の活動に向けて新メンバーを募集している。2016年2〜3月に行われた「くうきプロジェクト 青年センター祭FINAL」での公演『ふたりのお部屋 カップル編』を最後に、実質的に活動を休止していたGIGA。このたび満を持しての活動再開に向けて、新たなメンバーを募るという。これまでの充電期間と今後について、GIGAで演出を務める山田恵理香にインタビューを行った。

ー約1年間GIGAでの活動はおやすみされていましたが、この1年はどういう時間でしたか?

内側でなく外側にむかう時間でした。
個人的には、演劇ワークショップで演劇を知らない人たちと関わりを強くもったり、日本演出者協会の活動で県外の演劇人と交流をしたり、海外のアーティストとの企画を行ったり。更に出来る限りこれまではやったことのないことにチャレンジしました。演劇お化け屋敷に関わってみたり。名古屋の人形劇フェスティバルに参加してみて、自分がつくった新作(※1)がオブジェクトシアター(※2)というジャンルなんだと知ったりしました。また、初期メンバーの林田麻里が紀伊国屋演劇賞を受賞したことや春田康一が大きなゲーム会社をつくってたこと、菊沢将憲が映画監督として活躍をはじめてること等々、、卒業メンバーたちの活躍が自分の考える産婆的演出について改めてみつめる機会となりました。

ーなぜこのタイミングで活動を再開しようと思ったのでしょうか?

活動を停止していたわけではないのですが、GIGAの活発な時期は1か月に3回の新作公演を行うなど異常なペースで活動してました。特に2000年頃からの10年間くらいは1か月に1回は新作公演やアートイベントなどをおこなってました。2010年頃に主宰の菊沢将憲がダンスの黒田育世さんとの創作が縁で上京したのですが、そのあたりは成熟期を迎えたメンバーたちが増えていたこともあり、劇団主催でない活動にそれぞれが参加することも多くなってました。東京や関西へのツアーや国内演劇祭への招聘公演が2013年頃に一区切りついたので、個々の活動にしばらく力を入れる為にペースダウンすることにしました(GIGAは過去2回くらいそういう時間をもうけてきました)。その時点で未来の計画を立ててなかったので、支えてきてくれたファンの方々にはしばらく上演がないかもしれないことや看板俳優たちの芝居がみれなくなるかもしれない旨を伝えてひと区切りの公演はしました。その後、年に1回〜2回の公演ペースで多くは韓国や香港での海外公演だったりしたので、福岡の公演は2016年の2、3月に行った福岡市立青年センターのワンコイン実験シアターでの公演が最後になっているのです。

数年前から私がガルシアロルカ(※3)の上演を行いたく、どこで作品創作をすることがよいのか考えてみたときに劇団でやりたくなりました。作品理解や共通言語をつくってくために時間をかけた創作がしたくなったので劇団員が必要だとおもいました。そこで、現メンバーで福岡拠点組に相談して現メンバーも卒業メンバーも全てOBという位置づけにしてまったく新しい出会いを求めてみようとなりました。
今回は、まずは山田恵理香の演出作品を創作するグループということで、再始動することにしました。それで、ロルカ悲劇3部作上演にむけたプロジェクト開始のタイミングになりました。

ーなぜロルカを選んだのでしょうか?

肌感覚です。作品をどうしても上演したくなる時はなんともいえないものが突き上げてきます。それです。

で、言葉にしていくとすれば私におきた小さな出来事の積み重ねと社会の風潮とか世界の動向やその先みたいなことをロルカに感じています。
ひとつは、ロルカの「演劇革命」という思想です。演劇を民衆のもとに戻そうと活動したロルカの考えや姿勢が私を熱く刺激してくれます。
更に、ロルカが描くのは小さなコミュニティを舞台としてること、因習や宿命など日本の家族制度や結婚制度に通じるものがあること。実際の事件をもとに劇作していること。スペインの地方の町と自分の生活している九州の土地に同じ匂いをかんじていることなども理由のひとつです。

私は野外劇の演出が好きなのですが、3部作の中には野外上演を計画しているものもあって、作品が野外にも向いていると感じています。
と、まだまだロルカについては話したいことがありますが、それはまた上演の際にでも取材してください♡

ーロルカ作品の上演に向けて新メンバーを募集されていますが、どういう人に会いたいですか?

自分と似てない人に会いたいです。正直、どんな人に会いたいか、、というのはあまりイメージしてなかったです。どなたでも、まずは会ってみたいです。対等で自由な風潮が心地よいので、「成人以上、身体が元気な年齢制限無し」で会いたいです。
また、演劇の経験はないけど、衣装や音楽や舞台美術とかに関心がるというスタッフ希望者とも会いたいです。

構成・執筆:藤本瑞樹(kitaya505)

※1)自分がつくった新作
山田恵里香は「小さな劇場屋さん」というカンパニーを立ち上げ、『ぶらぶら人形ものがたり』という人形劇を製作。福岡・熊本・名古屋で公演を行った。

※2)オブジェクトシアター
広義には人形劇の一種。人形だけでなく、オブジェクト(=物、小道具全般)を駆使し、人形だけでなく、人形の操り手自身も出演者としてともに舞台に立つことが特徴。「フィギュアシアター」とも呼ばれる。

※3)ガルシアロルカ
スペインの詩人、劇作家。1932年に発表した悲劇『血の婚礼』は、スペイン文学を代表する作品として、世界中で親しまれている。


20歳以上を目安に、年齢制限無し、国籍不問という新メンバー探しを行っているGIGA。興味のある方はmail@spacegiga.comまで問い合わせてみてほしい。詳細は劇団サイトを参照のこと。

【関連サイト】
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