佐賀の劇団Ziシアターが古民家で公演
劇団Ziシアター(佐賀)が『はかなきもののものがたり』(作:後藤峰彦、演出:辻恵子)を5月21日(日)、佐賀市柳町の南里邸で上演する。
『はかなきもののものがたり』は、劇団Ziシアターが2014年に上演した作品。このたび長崎街道沿いに建つ古民家「南里邸」での再演となる。会場周辺は江戸時代に整備された長崎街道が縦断する地域。佐賀市歴史民俗館などをはじめ、旧森永家、旧久富家など佐賀の歴史を知る観光スポットとして近年注目を集めている。劇団Ziシアター代表の辻恵子に、劇団のこと、今回の作品のこと、佐賀の演劇事情などを訊いた。
ー自己紹介をお願いします。
こんにちは。佐賀で演劇やってます、辻恵子といいます。劇団では代表やってます。二代目です。仕事はフリーの舞台照明で、それが週末で。平日はパートで放課後児童クラブ支援員もやってます。去年の夏休みからで、まだ1年ならないんですけど、すごく経験になってます。子どもとの関わりとか。
ー劇団のことや演劇に関わったきっかけを教えてください。
演劇は高校1年の時に照明のお手伝いからで。青のホリゾント(舞台の背景を照らす照明)がほんときれいで。うわーって。で、そのまま照明担当で。大学の演劇部でも殆ど照明担当で、バイトでも舞台の仕事はじめて、そのまま就職。10年勤めた頃に、演劇の活動と仕事の両立ができなくなちゃって、悩んだ末に仕事を辞めちゃいました。そしたら、演劇ファシリテーターというものに出会いまして。演劇にこんな可能性があるんだ~? って目から鱗で。それから数年はあちこちで経験させてもらって、今は自分なりに活動を続けてます。
劇団は今年で25周年になるんですけど、まあよく続けてこれたなぁと。当初はエンタメ系? ですかね? 元の代表、団長が舞台美術な人だったんで、とにかく舞台転換とか、ダンスとか、そういうのが多かったんです。でも次第に何かが違ってきて、自分が代表を継いだのが2007年。試行錯誤な時期が続いて、ようやく落ち着いてきた感じです。まぁ、メンバーの殆どが40代半ば、なので、年齢とともに変わっていったというか。団員は6人で、1人は子育て中でお休み中です。
ー佐賀の演劇事情について教えていただけますか?
今、一番注目されてるのは佐賀東高校演劇部ですね。それと、佐賀若手劇団さわげ、でしょうか。佐賀で演劇を続けていきたいという20代のメンバーがどんな活動を展開していってくれるかな? と。大学演劇部が今はもう無いので、彼らの活動には私も期待してます。
2014年12月に小劇場ステージマロ(※1)が閉館して。昨年、長く続いていた金曜ショー劇場(※2)が幕を閉じたので、ちょっとした発表の場がないっちゃ無いんですけど、それはそれで、新たに開拓していくべきじゃないかな?と。どこでもお芝居はできると思ってて。
佐賀城本丸歴史館で毎週日曜日に歴史寸劇を上演している「幕末・維新佐賀の八賢人おもてなし隊」という演劇ユニットがあって、佐賀を拠点に活動している役者さん達が賢人を演じてるんですが、Ziシアターの後藤も鍋島直正役として関わらせてもらってます。もう5年目ですね。日曜日に佐賀にお越しの際は是非お立ちより下さい。3人の賢人がお出迎えいたしますので。
栄枯盛衰というか、やっぱり、やめていく人もいるし、でも、始める人もいて。そういうものなのかな? と。続けてくれる団体や人が増えてって欲しいなとは思うし、演劇ってものを身近に感じて貰えるようなことをやっていきたいとは思ってます。なんというか、とにかく、生活、仕事と両立できるものでないと、続かないんで。
ー今回の作品『はかなきもののものがたり』、再演となったいきさつや、古民家という公演場所についてお聞かせください。
劇団で企画運営している「テアトロこじーら」という、初心者を対象にした期間限定の演劇ユニットがあって、今年で7期目なんですけど、そっちの活動が主になってきてて。私自身の忙しさもあったんですけど。
で、Ziの公演はいつやるの? って声をちらほらいただくようになって、あと、こじーら1期から参加していた太田が劇団員になったっていうのもあって、そろそろやらなきゃね、やりたいよね、と。
じゃあ何やる? ってなった時に、新作は難しい。じゃあ再演で。ってことで、結果、この作品に決まりました。まあ、やりたかったんですね。もう一回。どこか古い場所で。で、ご縁いただいて、南里邸という場所で演ることに。
場所の影響って大きいですよね。本物、ですから。南里邸という場所でどうこの物語が完成するのか? 私自身、役者も久しぶりなので、すごく楽しみにしてるんです。
ー今後の展望や目標のようなものはありますか?
大きな目標ってのは無くて、ただただ、続けていくぞ。と。公演もだし、ワークショップも。続けていく中で、じんわりと演劇というものが広まっていけばいいな、と思ってます。
ーmola!をご覧の方へメッセージなどをお願いします。
佐賀は、のんびりしたとこです。歴史の街でもあるので、どうぞ観劇のついでに、ゆっつらーと遊びに来て下さい。
構成・執筆:北村功治(kitaya505)
(※1)ステージマロ
劇場ステージマロ。佐賀市の繁華街、愛敬町に存在した座席数40~50席の小劇場。2014年12月に閉館した。
(※2)金曜ショー劇場
劇場ステージマロと同じビル内のライブハウス、「Pub&Live space FRONTIER」で開催されていた演劇イベント。
近年は佐賀東高校演劇部や若手の劇団の活動に注目が集まっている佐賀だが、20年以上の活動歴を誇る社会人劇団の今後も注目していきたい。
出演は、大田広幸、藤田奈保、辻恵子。
チケットは前売1,500円(当日1,800円)。
予約・お問い合わせはzi.theater@gmail.com、090-4772-6176(担当:ツジ)まで。
劇団Ziシアター『はかなきもののものがたり』
作:後藤峰彦
演出:辻恵子
日時:2017年5月21日(日)11:00/14:00
会場:南里邸(佐賀市柳町9-10)
料金:前売1,500円(当日1,800円)
【関連サイト】
劇団Ziシアター
劇団Ziシアター&テアトロこじーら(Facebook)
※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。