侘び助が石牟礼道子の『苦海浄土』を朗読
侘び助(北九州)が『苦海浄土 石牟礼道子』~朗読ライブ~(原作:石牟礼道子、構成:鳴)を9月9日(土)、北九州市八幡東区前田のデルソルカフェで上演する。
「苦海浄土」とは、水俣病についての記録文学。
患者たちからの聞き書き、裁判をめぐる動向などの記録。「天のくれらす魚」あふれる海が、豊かに人々を育んでいた幸福の地。しかしその地は、海に排出された汚染物質によって破壊し尽くされた。貧しい漁村で暮らしていた人たちが思いもしない原因で奇病にかかり人生を壊されてしまう。その時、「石牟礼道子」という存在を通し、水俣の言葉が濃厚に語られる。
全国語り部大会で日本一となった萬田陽子が代表を務める侘び助が、熊本出身の小説家、石牟礼道子の私小説とも言われる『苦海浄土』の朗読を行う。萬田陽子と、本作の構成を担当した鳴(めい)に、侘び助のことや作品のことについて聞いた。
ー萬田さんの経歴を教えてください。
萬田 演劇は、高校から演劇活動を始めました。カルチャースクール演劇講座を受講して、1992年にそのメンバーとアマチュア劇団を創立しました。その劇団を1995年に退団し、地元直方市で劇団「演劇集団空間飛行」を旗揚げしました。空間飛行を2015年に解散してから、語りワークショップを受講したりして「語り」の世界に関わり、2004年に朗読と語りのユニット・「侘び助」を旗揚げしました。プライベートでは、デイケアー・ホスピス訪問、学童訪問などのボランティア活動に関わっています。地元直方でペット美容室ドルーピーを開店して今年で25年目になります。
ー語り部のコンクールで優勝されたそうですね。
萬田 大分県玖珠町主催の久留島武彦顕彰語りベ大会(現・久留島武彦顕彰全国語りべ大会)、2015年第三回の語りべ大会で優勝しました。ただ、優勝すると翌年から参加できなくなるので……ちょっと寂しいです。
ー侘び助はどのような活動を行っている団体ですか?
萬田 語りと即興音楽を軸にライブ活動を行っています。朗読、語りは映画や演劇に比べてその自由度が高く、言葉と想像力さえあれば聞き手を無限の世界へ案内することができるので、それを目指して活動しています。
ー『苦海浄土』はどのような作品でしょうか?
鳴 『苦海浄土』はとても有名な本ですが、いつか読もうと思い、手にとる機会を逃してる方も多いのではないかと思います。今回はそんな方に、ピアノの音色にのせて、水俣病の重みと深い悲しみ、それにもまして鮮やかに浮かぶ景色の美しさと、全てを包む祈りを感じて頂けたらと思います!
ー最後にmola!をチェックしている方々にメッセージを!
鳴 今年8月16日、世界で水銀を規制する条約に水俣の名が冠せられました。水俣のエコパークと呼ばれる清潔な公園の下には、今も水銀に汚染された大量の土が、魚ごと埋まっています。終わっていない。まだ水俣病は終わっていない、という印象を強く受けます。石牟礼道子さんは、今も熊本の地で、詩を紡いでおられます。そして、水俣の人々の祈りを自分の祈りとし、強い心と美しい言葉で、かの地を癒そうとしてらっしゃる気がしてなりません。『苦海浄土』を、私達が入口となり、皆様の魂に届けられたらと願ってやみません。
語りは、萬田陽子、鳴。音楽は、上田たけし。
料金は1,000円でワンドリンクオーダー制。
予約・お問い合わせは090-9471-4613(めい)まで。
侘び助『苦海浄土 石牟礼道子』~朗読ライブ~
原作:石牟礼道子
構成:鳴
日時:2017年9月9日(土)18:00
会場:デルソルカフェ(北九州市八幡東区前田3-10-26)
料金:1,000円(要ワンドリンクオーダー)
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