演劇関係いすと校舎の新作はゴミ屋敷のお話
演劇関係いすと校舎(行橋)が第26回公演『あくたもくた。』(作・演出:守田慎之介)を12月15日(金)~17日(日)、行橋市大字高瀬の自宅劇場「守田ん家。」で上演する。
行橋市で、民家を劇場スペースとしてリノベーションした自宅劇場「守田ん家。」を運営している演劇関係いすと校舎。新作『あくたもくた。』は、何の役にも立たないつまらないもの、欠点や短所、人の欠点をあげて悪口を言う、などを指す。作品のことや団体のことなどを、代表の守田慎之介に聞いた。
ーまずは九州戯曲賞の大賞受賞(※1)、おめでとうございます。
ありがとうございます!足掛け5年で、ようやく手が届きました。
ーいすと校舎は民家を劇場として公演を行っていますが、作品と上演する場所との関連性などはありますか?
2012年に上演した『群れる青、トコロ。』という作品から5年ぐらい、自宅劇場での新作公演は場所をそのまま生かした「家」や「そこに住む家族」を描いた作品を上演して来ました。その前までは教室にしたりバンガローにしたり、家族を描くにしても洋室にしてみたり四つの部屋を作ったりと、お客さんが自宅劇場の玄関を開けた時にどれだけ驚くかに重点を置いていたような感覚がありました。で、2012年に場所の設定を自宅劇場的にシンプルにしたところ、その作品が九州戯曲賞の最終選考に初めてノミネートされて(※2)。それ以降は自分の特徴を伸ばしたいと思って、書きたい家族の形をその場所の設定で書くようになりました。
ータイトルである「あくたもくた」という言葉はあまり馴染みがない言葉、そして決してよい意味で使われている言葉ではありませんが、この言葉をタイトルとして作品を創ろうと思ったきっかけや着想などについて教えてください。
場所から内容を考えて、それからタイトルをつけたのですが、構想を立てる中で、お話の流れよりも、そこに住んでる人、そこにやって来る人たちってどんな人なんだろう、何が自覚的で、何が無自覚的なんだろう、自分のことをどう思って、相手のことをどう思ってるんだろう、など色々と巡らす中で、調べ物をしている時に見つけた「あくたもくた」という言葉が気になり、前に友人に言われた「何で演劇なんてやってるの?」って言葉とつながって、このタイトルの「役に立たない、つまらないもの」ということに挑戦してみようと思いました。
この場でいろいろ作品を作って段々とやってみたいパターンがなくなって来ていた時に、劇団員からゴミ屋敷の話を聞き、今までとは違う家族の話が書けるかもと感じて、構想を立て始めました。
ーゴミ屋敷のお話?
ゴミ屋敷です。ただ、もしかすると想像しているようなゴミ屋敷とは違うかも知れないです。マスコミで取り上げられているような家主VS住民や行政みたいな話を書きたいわけではなかったし、書けるとも思っていませんでしたし。
ただ、そんな話を書こうと決めたからには色々な情報は知りたいと思い、本や動画、ゴミ屋敷の住人の近親者にお話を伺ったりするうちに、一口に「ゴミ屋敷」と言っても、もちろんタイプや事情も様々で、そのうちに片付けが苦手な自分もそうなのかも知れないと思うようになって、当初構想していたものよりも、かなり身近な話題になったように思います。
ー自宅劇場がゴミ屋敷と化す?
そうですね、なると思います。程度はまだ分かりませんが。狭い自宅劇場の演技スペースが、より狭くはなります。ただ、有機系のゴミ屋敷ではありませんので、気持ちの悪いものが転がっていたり、臭いの被害はありません。
ー劇団や個人的な今後の目標はありますか?
昨年は『草、のびて、家。』という作品を再演しましたが、色々なタイプの家のおはなしが溜まって来たので、どこかのタイミングでどかっと上演できたら嬉しいな、と思っています。あと、今年九州戯曲賞を頂いた作品も、高校生とのお芝居なのですが家のおはなしで、いつか再演したいと思っています。
劇団としては、今は結婚ラッシュ&出産ラッシュなので、客演さんの力も借りつつ、その環境とうまく付き合って行きながら、新しい劇団の形を目指して、良い作品づくりが出来たらと思っています。
ー最後にmola!をチェックしている方々へひとことお願いします!
福岡県行橋市という、もしかすると名前もあまりピンと来ないかも知れない土地で、演劇を作り続けています。上演時間よりも移動時間の方が長くなるという方もいらっしゃるかも知れません。ただ、そこの空気をいっぱいに吸った作品をお届けできると思いますので、段々と低くなる建物や、広がる田園風景を楽しみながら、民家で上演される家のおはなしを見に来て頂けたらと思っています。よろしくお願いします。
(※1)九州戯曲賞の大賞受賞
守田は『ハレハレ。』で平成29年度九州戯曲賞大賞を受賞。この戯曲は、北九州芸術劇場が地域と高校生と演劇人がクリエーションすることを目的とした企画で書かれた。
(※2)その作品が九州戯曲賞の最終選考に初めてノミネートされて
守田は、平成25年第5回九州戯曲賞『群れる青、トコロ。』で九州戯曲賞の最終選考にノミネートされて以降、平成26年に『ボクと彼女の、花。』、平成27年『草、のびて、家。』と3年連続で同賞の最終選考にノミネートされた。
出演は、吉田砂織、中川歩、高野由紀子、平林拓也、柳本あゆみ、森川松洋(バカボンド座)ほか。
チケットは、一般前売1,800円(当日2,300円)、学生前売1,200円(当日1,700円)。CoRichチケット!での取り扱い。
お問い合わせは演劇関係いすと校舎info@isukou.netまで。
演劇関係いすと校舎 第26回公演『あくたもくた。』
作・演出:守田慎之介
日時:2017年12月15日(金)20:00
16日(土)14:00/19:00
17日(日)13:00/17:00
会場:自宅劇場「守田ん家。」(行橋市大字高瀬295)
料金:一般前売1,800円(当日2,300円)
学生前売1,200円(当日1,700円)
【関連サイト】
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