劇団きんしゃいが諫早大水害60年祈念の作品を上演
劇団きんしゃい(諫早)が第59回公演『本明川物語家族~巳・今・當~』(原作:森風凛、脚色:劇団きんしゃい、演出:中村一也)を12月10日(日)、諫早市諫早市東小路町の諫早市民センター(中央公民館)講堂で上演する。
代表の小川供孝と演出の中村一也に劇団のことや本作について聞いた。
ー小川さんに伺います。劇団きんしゃいとはどのような団体でしょうか?
小川 諫早で活動して今年41年目になります。結成のきっかけは公民館の演劇講座に参加した人たちで演劇のグループを作ったのがきっかけですね。「下手でんよかけん、きんしゃい(諫早弁で「おいで」の意味)!」って言っていたらいつのまにか「劇団きんしゃい」になっていました(笑)。僕らの演劇活動は「地域の人とともに」という親しみをもっていただけたらうれしいなと思っています。また活動の特徴として「一握りの愛運動」をやっています。これは受付でお客様から一握りのお米をお預かりして、それをアフリカの食糧難の国々へ送る活動で20数年間続けています。マリ共和国から感謝状もいただきました。
―1957年7月25日、死者・行方不明者630人を出した諫早大水害。それから、今年で60年を祈念しての作品を上演ということですが、この作品を選ばれたのはどういう経緯ですか?
小川 これは僕の希望ですね。諫早大水害から50周年のときに諫早でシナリオ講座があったんですね。テーマは諫早大水害。その時の最優秀作品がこの作品なのです。作家の方にもご快諾いただいて初演をやりました。また60周年を迎えて改めて上演をいたします。水害をモチーフにしてますので、けっこうシリアスなシーンもあるのですが、間に笑いや日常のシーンもあって、全体を通して楽しめるようにしています。
―小川さんは実際に水害を体験されていますよね。60年たってどういう想いがありますか。
小川 水害当時は小学1年生でした。なので記憶は曖昧なところもありますが、川の水量が急激に増えて怖かったのを覚えています。僕の家は浸水しなかったのですが、ひどかった地域は、何日も水が引かずに屋根の上で数日過ごしたりしてましたね。やはり災害は備える気持ちが大事かなと思います。自然災害は防げないので、それにどう対処するか。普段から考えておく必要がありますね。今回はロビーで水害当時の写真のパネルを国土交通省からお借りして展示も行います。諫早大水害を風化させないようにしていきたいですね。
―演出の中村さんに伺います。『本明川物語家族~巳・今・當~』の見どころなどを教えていただけますか。また、サブタイトルが印象的ですが、何かこめられた想いがあるのでしょうか。
中村 サブタイトルの「巳・今・當(い・こん・とう)」とは「すでに・いま・ここから」という意味です。伝えたいのは「つながり」。縁というのが「私」を作っている。私には関係のないと思っているような出来事や、いろんな過去のことや様々なものがつながって「私」ができあがってるんだということ。いわば、私がいないと世界もないし、世界がなかったら私もいない。私の存在自体が奇跡なんだということ。生物・生命としてのつながりだけでなく、人々の願いであったり支えであったりとかがつながってつながって、私が今ここにいるんだということを演劇を通して再確認してほしいなと思っています。人生になにひとつ無駄ことはないよ。いろんなことがつながっている。そんな想いを込めました。水害をモチーフにした家族のつながり、家族の再生の物語です。
チケットは、一般500円。 中学生以下無料。
お問い合わせは0957-32-5183(小川)まで。
劇団きんしゃい 第59回公演諫早大水害60年祈念『本明川物語家族~巳・今・當~』
原作:森風凛
脚色:劇団きんしゃい
演出:中村一也
日時:2017年12月10日(日)13:00/17:00
会場:諫早市民センター(中央公民館)講堂(諫早市東小路町8-5)
料金:一般500円
中学生以下無料
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※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。
執筆:寺井よしみ(諫早独楽劇場)