ヒカリノオトが冷泉荘で二組の親子の物語

2018.03.19

ヒカリノオト(福岡)が『さよなら、サンカク』(作・演出:松岡伸哉)を3月30日(金)~4月1日(日)、福岡市博多区上川端町のリノベーションミュージアム冷泉荘で上演する。

ヒカリノオトpresents『さよなら、サンカク』

十五歳。秋。下校途中、私は連れ去られて。
昨日までの世界は一変した。
自宅前に駆けつけた大人から投げつけられた
「監禁されていた日々はどんな気持ちだったか」「犯人に言いたいことは」などという声に一瞬目眩がして、母親はあの頃とは別人みたいな顔で私を見ていた。
二十一歳。春になった。空白の五年と何ヶ月か。
母親は定時制高校のパンフレットを差し出して言う。
「ゆっくりでいいからね」
また、私の世界は一変した。
あの男の匂いを、部屋の間取りを、腕に巻き付いたテープの感触を、市役所のスピーカーから聞こえて来る夕焼け小焼けを覚えてる。
投げやりに段ボールで塞がれたその部屋の窓の形は三角で、二度と来ない「はじまり」みたいに感じていたけれど。
今、そんな三角へ、
はじまりの「さよなら」を。

2017年に『瞬く間に、春』で発足したヒカリノオト。“人が持ち合わせる、湧き上がるその誰にも教えてもらったことのない感情たちをひたすら丁寧に、それを私達が生きる些細な風景として切り取れたなら。そんなものを作品にできたなら。”をモットーに創作活動を行っている。脚本・演出を担当する松岡伸哉は、戯曲『おあいこ』がせんだい短編戯曲賞2017の最終候補作品に選出されるなど、いま注目の劇作家でもある。ヒカリノオトに作品のことなどを聞いた。

ー今回の作品はどのような作品ですか?

一つの監禁事件を軸に描かれる、二組の親子の物語です。一方は少女が監禁されている部屋を舞台に、その階下に住む家族の物語。もう一方は解放された少女が帰って来た部屋を舞台に、彼女とその母の物語。二つの時間軸を行き来しながら、彼女がこれまでをどう生き、これからをどう生きていくのかを描いた作品です。
今回描かれる登場人物達は普段の私たちと大して差も無い、普通でいようとする人々です。誰かの為の嘘のつもりが本当は自分の為の嘘だったり、大きな問題を抱えていても平穏を保とうとしたり。そんな人々の人間模様を過去と現在を交錯させながらお送りいたします。

ーmola!をチェックしている方々へメッセージをお願いします。

事件は、犯人が逮捕されたら解決。被害者が無事だったなら解決。ということになると思うのですが、なかなかテレビで報じられることもネットで取り上げられることもない、その先の、解決した事件の解決しなかった部分を描きました。
誰しも生きていれば感じたことのある、苦しさだったり弱さだったり一歩踏み出せない心だったり。そんな自分への「さよなら」をこの演劇公演を通してヒカリノオトがお届けいたします。どこかで何かを感じていただければ幸いです。ご来場お待ちしております。

出演は、立道心、中島荘太、立石義江、杉山英美、中島絢子、松岡伸哉。

チケットは、前売2,000円(当日2,300円)。CoRichチケット!での取り扱い。

お問い合わせはhikarinote_info@yahoo.co.jpまで。


ヒカリノオトpresents『さよなら、サンカク』

作・演出:松岡伸哉
日時:2018年3月30日(金)19:30
        31日(土)14:00/19:30
       4月1日(日)12:00/16:00
会場:リノベーションミュージアム冷泉荘(福岡市博多区上川端町9-35)
料金:前売2,000円(当日2,300円)

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ヒカリノオトpresents『さよなら、サンカク』

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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