サンピリが太宰に想いを馳せる一人芝居
サンピリ(福岡)がサンピリプロデュース 大谷豪一人芝居2018『駈込み訴え』(作:太宰治、演出:オオバカオリ)を6月9日(土)、諫早市八天町の諫早独楽劇場で上演する。
怪優、再び。
2016年神戸、2017年福岡、東京3か所、熊本と一人の肉体を以て劇場を激情の海へといざなってきた大谷豪が、太宰治の生誕・命日である「桜桃忌」を跨り、太宰の生誕の地へと向かう三回目の旅路へと歩を進める。
積極的な活動を展開するサンピリが3月の公演『したいたい』から早くも次なる公演を行う。今回は太宰治の短編小説『駈込み訴え』の一人芝居を諫早、神戸、京都の3都市で上演する。演出のオオバカオリ、俳優の大谷豪に話を聞いた。
ーこの小説を芝居にしようと思ったのはなぜですか? なぜ、いま「太宰治」なのでしょうか?
オオバ 「駈込み訴え」は小説ですが、語り口調になっており演劇では以前から上演されてきた演目です。普遍性があり、どの時代においても、観た人に新鮮で斬新な印象を感じさせるところが、太宰治の天才所以なところだと思います。何せこの一人芝居、格好いいんです。
いつかこの作品に関わりたいと思っていましたが、適役の方もそうはおりませんし、大谷さんに出会わなければ、まだずーっと先の話だったと思います。
大谷 2016年にサンピリさんにこのお話をいただきました。もともと一人芝居は好きで、やってみたい、と考えていたので喜んでやらせていただきました。神戸で公演でした。そのとき「ここだけで終わらせるのはもったいないな」と思っていたところ「他のところでもやろう」と提案されました。それに乗っかったカタチです。このような形だと他の場所に持っていきやすいですし。旅公演、したかったんです(笑)。
―『駆け込み訴え』は、愛と憎しみ、人間の愚かさとともに人間の滑稽さや切なさ、哀しみ、エロスが感じられる作品だと思います。心身の体力がいる作品だと思いますが、演出家として、俳優として、この作品を創るうえで、大切にされていることは何ですか?
オオバ 小説と、その小説が立体化された世界を見比べていただきたいので、物語を最初から最後まで全編加工せず演出をすることに心掛けてます。作者へのリスペクトの意も込めて。
大谷 体力、いりますね~。あと当然ながら覚えること(笑)。一言一句そのまま覚えること。多少のいい間違いはありますが……。それから私自身そのものが試される、みたいな。なにより大切にしたいのはやはり「人間」というところでしょうか。太宰がこれをどのように思って書いたのか? ということをはじめ考えてはいましたが、いまはそれはあまり考えていない。あ、ちなみにコレ、口述筆記でイッキに書き上げた……言いあげた? らしいです。あと、とっても「人間臭い」ヒトだと思います。2000年前になにが行われたか、ということ。当然ながら聖書にもこのシーンは書いてあるけど聖書は後のひとが、都合よく書いてる側面があると思う。書いてあるもの、目に見えるものの向こう側、見えない聞こえないところでなにが行われたか。
人間は2000年前もいまもまったく変わっていないと思う。だったらこの事件が現代になにをもたらしているのか。当然ながら答は出ませんけど「人間」てなに? という問いはいつも考え、大切にしているところです。狂いかけた、狂っているいまこそね。でっかい脳ミソを持ってしまったことから起こる呪縛、面白さ、滑稽さ、怖さ、恐ろしさなどなど、すべて大切にしたいところです。太宰は戦争に協力しなかった文学者のひとりでもあるそうですしね。
―昨年度のツアーを踏まえての今年のツアーは、なにか違いはありますか?
オオバ 前回のツアーとの違いは、「躊躇してないところ」ですね。太宰治ファンの方は多くいらっしゃいます。世界観の違いなどで怒られやしないかと思ってましたが、好きな方にこそ何度も足をお運び楽しんで頂けたので、大きな力になりました。多くの方に観ていただきたいです。
大谷 やはり何度も読んだり、いろいろ生活していると「これ、こういうこと言ってるなあ」と思うところはでてきます。でもいちばんはやはり「人間」かな。演出も俳優も見てくださるかたもみんな「人間」ですから。日々変わっていくものですしね。
あの行為は本当に裏切りだったのか。善悪の基準ってなに? 見えるものの聞こえるものがいちばん大切? そんなヒントもここにあるような気がします。
これから続けていくつもりなので小説も含めて何度も観ていただきその都度の変化を楽しんで頂けたら、と思っています。
出演は、大谷豪。
チケットは、1,500円(要ドリンク1オーダー)。予約フォームでの取り扱い。
お問い合わせはsunpiri.form@gmail.comまで。
サンピリプロデュース 大谷豪一人芝居2018『駈込み訴え』
作:太宰治
演出:オオバカオリ
日時:2018年6月9日(土)17:00/20:00
会場:独楽劇場(諫早市八天町15-4KGビル2F)
料金:1,500円(要ドリンク1オーダー)
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