『悪い天気』藤原達郎インタビュー
『悪い天気』で北海道戯曲賞大賞を受賞した飛ぶ劇場(北九州)の藤原達郎が、自身のユニット「大体2mm」でリーディング公演を行う。受賞後急遽決まった大体2mmのリーディング公演を前に、今回mola!では作・演出の藤原達郎にインタビューを行った。
戯曲賞受賞後、義父がやさしくなった
−まずは、北海道戯曲賞の受賞、おめでとうございます。
藤原達郎(以下、藤原):ありがとうございます。
−なにか、身の回りの状況が変わりましたか?
藤原:妻の実家のお義父さんが、こころなしかやさしくなりました。
−こわいお義父さんなんですか?
藤原:もう定年退職されているのですが、ばりばりの営業マンだったお義父さんなので、生活を犠牲にしてまで行う演劇活動に対しては、厳しいご意見をよくいただいています。そのお義父さんが、こころなしか、やさしくなりました。
−娘の夫が演劇活動をしていることに関して、お義父さんは良く思われていないということなのでしょうか。
藤原:あまりよろしく思っていないでしょうね。仮に僕に娘がいたとして、その夫が収入が少ないにも関わらず演劇活動を一生懸命行っていたら、自分のことは棚に上げてでも、苦言を呈すると思います。
−では、今回の受賞で、少しはその活動が認められたということなのでしょうか。
藤原:そうですね。今まで演劇活動をしている僕の印象が下の下だとしたら、下の中くらいには向上したんじゃないでしょうか。「調子に乗るなよ。」と釘は刺されましたが。
−道のりは長いですね。
藤原:そうですね。
出演者は、友達と身内と劇団員
−今回出演者として、二番目の庭の主宰であり、藤原さんの友人でもある藤本瑞樹さんを起用した理由は何ですか?
藤原:友達だからです。
−本当にそれだけですか?
藤原:いや、まあそれだけじゃあありませんが。
−他の出演者の方も友達ですか?
藤原:他は身内と、所属劇団の劇団員です。
−宇都宮誠弥さんは友達じゃあないんですか?
藤原:友達じゃあないです。宇都宮誠弥がどう思っているのかは知りませんが。
−なぜ藤本さんだけ、起用理由が友達だからなのですか?
藤原:他に友達がいないのでよくわかりません。
−……すいません。
藤原:あと、藤本瑞樹さんは、棒読みによる感情表現が得意そうだったからです。
−ほめてますか?
藤原:ほめてます。
−宇都宮誠弥さんもセリフに抑揚がないことで有名ですが、起用理由はセリフに抑揚がないからですか?
藤原:セリフに抑揚がないからです。
−棒読みによる感情表現が求められる作品、ということでよろしかったですか?
藤原:それは演出次第ではないでしょうか。
−演出は誰が行うのですか?
藤原:表向きは僕が行います。
−表向きは?
藤原:稽古に僕自身がどれくらい参加できるのか、現時点でよくわからないので。
−じゃあ、裏では誰が演出するのですか?
藤原:藤本瑞樹さんです。
−それは、藤本さんにはお伝えしているのですか?
藤原:いいえ、していません。するつもりもありません。
−それは、した方がいいのではないでしょうか。
藤原:いいえ、しません。が、その辺は、僕と藤本瑞樹さんは友達なので、ツーカーというか、「あれ、お願い。」と念を送れば、「あ、藤原がいない時には、藤本瑞樹が演出を行えばいいんだな。」とちゃんと伝わる間柄なので、大丈夫ではないでしょうか。友達って、そういうもんでしょう?
−藤原さんの友達観って、重いですね。
藤原:そうですね。恋愛観も重いと、よく言われます。
−あ、恋愛観も、そうなんですね。
藤原:そうですね。「付き合ってください。」と告白する時点で、一緒の墓に入る所まで考えます。
−重いですね。
藤原:よく言われます。
モスバーガーに行った後、ドトールコーヒーに行く
−この作品のテーマを教えてください。
藤原:テーマなどは、特に決めずに書きはじめましたが、書き上がったものを読んでみて、コミュニケーションについて書いているなあという印象はあります。
−藤原さん自身、コミュニケーションの方はどうですか?
藤原:苦手ですね。
−ですよね。
藤原:苦手なので、極力、他人とのコミュニケーションをとらなくても良いように日々過ごしています。
−お休みの日はどう過ごしているんですか?
藤原:基本的に一人で過ごしています。
−そんなに一人でやることありますか?
藤原:そんなにないですね。だから時間が余ります。
−何やってるんですか?
藤原:まったくです、何をやっているんでしょうね。
−いや、そういうことじゃなくて、具体的に何をやって過ごしているんですか?
藤原:あぁ、モスバーガーに行きます。
−モスバーガー、お好きなんですか?
藤原:モスバーガー、好きですね。小倉に出たら、だいたい旦過か平和通りのモスバーガーに行きます。
−何を食べるんですか?
藤原:モスチーズバーガーと、オニポテセットと、コーヒーと、ナゲットです。
−毎回そのメニューなんですか?
藤原:毎回このメニューです。
−どれくらいの頻度で行くんですか?
藤原:小倉に出たらほぼ毎回行きます。
−小倉にはどれくらいの頻度で出るんですか?
藤原:月に2〜3回ですかね。
−飽きませんか?
藤原:飽きますね。
−他のメニューは頼まないんですか?
藤原:頼みませんね、だいたいこのメニューです。
−飽きませんか?
藤原:飽きますね。
−飽きたらどうするんですか?
藤原:ドトールコーヒーに行きます。駅前か、平和通りのドトールです。
−何を食べるんですか?
藤原:ミラノサンドのAセットと、コーヒーです。
−毎回そのメニューなんですか?
藤原:毎回このメニューです。
−どれくらいの頻度で行くんですか?
藤原:小倉に出たらほぼ毎回行きます。
−え、モスバーガーに行くんですよね?
藤原:モスバーガーに行った後、ドトールコーヒーに行くんです。
−他のメニューは頼まないんですか?
藤原:頼みませんね、だいたいこのメニューです。
−飽きませんか?
藤原:飽きますね。
−飽きたらどうするんですか?
藤原:帰ります。
−友達と会おうとか思わないんですか?
藤原:友達が藤本瑞樹さんしかいないのでよくわかりません。
−スターバックスコーヒーっていう、チェーン展開しているカフェがあるんですが、これが終わったら行きますか?
藤原:よろしくお願いします。
作品の中でくらい、だらだらしたい
−お話のあらすじを教えてください。
藤原:天気の悪い夜に、公園でだらだらするお話です。
−シンプルなあらすじですね。
藤原:そうですね。
−他の作品もシンプルなものが多いんですか?
藤原:そうですね、だいたいシンプルです。
−他の作品のあらすじも教えてください。
藤原:休憩中にだらだらするお話とか。
−他には?
藤原:職場でだらだらするお話とか。
−他は?
藤原:飲み屋でだらだらするお話とか。
−だらだらするお話しかないんですか?
藤原:いいえ、宇都宮誠弥が旅に出る、イージーライダーみたいなお話もあります。
−あ、宇都宮さんが出るんですね。
藤原:そうですね。僕のイメージする宇都宮誠弥を主人公に、1本書いてみました。
−何ていうタイトルですか?
藤原:『抑揚を持たない宇都宮誠弥と、彼のモラトリアムな年』っていうタイトルをつけようとして、やめました。
−あ、やめたんですね。
藤原:怒られそうだったんで。
−誰に?
藤原:村上さん。
−好きなんですか?
藤原:村上春樹ですか?好きです。
−いや、宇都宮さん。
藤原:宇都宮誠弥は、別に好きじゃないです。
−じゃあ、イージーライダーが好きなんですか?
藤原:いや、そういうわけでもないです。
−じゃあ、何が好きなんですか?
藤原:村上春樹です。
−いや、藤原さんの作品のことです。
藤原:あぁ、だらだらするのは好きですね。
−だからだらだらするお話が多いんですか?
藤原:だらだらすることもままならない世の中なんだから、作品の中でくらい、だらだらしたっていいじゃないですか。
−急にそういうこと言うのやめてもらえますか。
藤原:すみません。
−だらだらしないお話はないんですか?
藤原:『CRパチンコ木村健二』っていう、藤尾加代子さんと木村健二さんが行ったワークショップで生まれた作品を、勝手に台本に起こそうとして途中でやめているものがあります。
−それが一番見たいですね。
藤原:著作権が僕にないので、上演しません。
早くスタバに行きましょう!
−では最後に、リーディング公演に向けて一言、お願いします。
藤原:ぜひ見に来てください。
−……それだけでよろしかったですか?
藤原:いいです。さあ、早くスタバに行きましょう!
−……本日はどうもありがとうございました。
インタビュアー:藤原達郎(大体2mm/飛ぶ劇場)
構成・文章:藤原達郎(大体2mm/飛ぶ劇場)
写真:藤原達郎(大体2mm/飛ぶ劇場)
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