ヒロシ軍の新作は、太宰をバンド生演奏で!?
劇団ヒロシ軍(諫早)が第15回本公演『カチカチ山』(原作:太宰治、構成:永山智行、演出:荒木宏志)を4月20日(土)~21日(日)、北九州市小倉北区室町の北九州芸術劇場 小劇場で上演する。
諫早を拠点に積極的な活動を行う劇団ヒロシ軍。九州の劇団が競い合う「劇トツ×20分」で2017年、2018年に2連覇を果たすなど、今注目の劇団と言えよう。本作『カチカチ山』は、日本民話の「カチカチ山」を太宰治が新解釈で書いたおとぎ話をベースに、劇団こふく劇場(宮崎)の永山智行が舞台作品として構成。バンドの生演奏に乗せて、モテたい男が惚れた女のために必死にもがき、のたうち回る情けなくも熱い物語になるという。劇団ヒロシ軍の荒木宏志と中村幸、構成を担当する永山智行に話を聞いた。
ー「劇トツ」2連覇から優勝からもうすぐ1年ですね。
荒木 はい。もうあれから1年ですね。「劇トツ」でまさかの2連覇した時に、正直、劇団としての体制はボロボロで、新作を書ける状態でもありませんでした。そんな時にヒロシ軍を休団中の中村幸から連絡がきました。北九州公演に制作として関わらせてくださいと。それで何とか劇団としてやっていけると立ち上がれました。
ー中村さんはなぜ制作を担当しようと思ったのでしょうか?
中村 荒木が言った通り、体制がボロボロなのは知っていましたし、その中で劇場で公演するなんて、さすがにいてもたってもいられず(笑)。
ー原作もの、それも太宰治の「カチカチ山」を舞台化しようと思ったのはなぜですか?
中村 「ヒロシ軍が今までやったことないことを」と考えた時に、古典はどうだろう? と思いました。「ヒロシ軍古典やらなさそうだし、どうなるんだろ~」って感じで。
荒木 「古典をやってみない?」と提案してきたのは中村でした。その時、中村は劇団こふく劇場で『ただいま』全国10都市ツアーの真っ只中だったのですが。劇団ヒロシ軍の作品はすべて自分が脚本書いていたので、正直ネタに困ってました。「不器用な男が惚れた女のために一生懸命がんばるも空回りする作品」ばかり作り込んできたので。今まで古典はやったことがなくて、これを機に古典に挑戦するのもアリだなと思いました。ただ何をやるかについて、かなり悩みました。正直、古典の知識がなかったので。
ーそんな古典のなかから「カチカチ山」が選ばれた経緯を教えてください。
荒木 去年の10月に劇団ヒロシ軍が三股で公演をしたときに、永山さんから「一度、読んでみて」と言われて、太宰治の「カチカチ山」の本を渡されました。その日の夜に読んでみたら、衝撃を受けました。まるで太宰治が僕ら劇団ヒロシ軍のために書いてくれたんじゃないかってくらいに物語がドンピシャリ当てはまったんです。どれくらい当てはまってるか、それは劇場で足を運んで観てほしいほどです。本当にハマりすぎて面白いくらいです。というか、今、この日本でこの「カチカチ山」を面白くやれるのは劇団ヒロシ軍だけだと言っても清少納言(過言)じゃありません。そして、この作品に出会わせてくれた劇団こふく劇場の永山さんには本当に頭が上がらないです。
ー永山さんはなぜヒロシ軍に太宰版「カチカチ山」を選んだのでしょうか?
永山 原作をご存知の方は同意していただけると思いますが、「いや、だってこれもうヒロシ軍でしょ」と。ヒロシ軍のドラマは、端的に言えば、「モテたい」、それだけが基本原理だと思うのですが、まさにこの「カチカチ山」は、モテたい醜男の悲劇を実に喜劇的に描いていて、とても70年以上前の戦時下に書かれたとは思えない瑞々しさを今でも持っている作品です。ヒロシ軍がこれをやるのは、もう当然の宿命だと思いました。
荒木 構成をすると言ってくれたのも永山さんのほうからです。「こふく劇場の『ただいま』でさっちゃん(中村幸)には大変お世話になってるから」と言ってくださって。だから僕は中村幸にも頭が上がらないです。この「カチカチ山」を読んだときに、「狸」は俺で「兎」は中村幸しかいないと思いました。もともとは制作として関わる予定だった中村を電話で2時間も説得して、出演してくれることに決定しました。中村の劇団ヒロシ軍復帰作品にもなります。
ーバンドの生演奏を採用しようと思ったきっかけを教えてください。
荒木 「バンド編成にしたら?」と、これまた永山さんがアドバイスくれました。宮崎の時空の旅シリーズの『三文オペラ』で共演したバンドメンバーが今回参加してくれることになって、音楽に関してはかなりの信頼がありました。僕は劇団ヒロシ軍をやってるかたわら、「キスマイ沸騰5」という音楽ユニットで音楽活動をやっているので、かなり熱い舞台になること間違いないと思いました! 僕は創作しながら制作もするので、利益は出なくても絶対に赤字だけは出さないという、いつも八方塞がりの状態でやっています。キャスティングしたい役者はたくさんいるけれど、でも予算のことを考えたら……とか、こんな舞台セットを立てたいけど予算のことを考えたら……とか。それをなんとかカバーするための助成金や動員などを見込めれば良いですけど、情けないことにカバーできるほどの助成金も動員もない。なので今回、劇団ヒロシ軍はファンディングを始めました。良かったら、ご協力よろしくお願いいたします!!!
ー最後にmola!をチェックしている方にメッセージをお願いします!
中村 いつものヒロシ軍なんだけどいつものヒロシ軍じゃない。情けなくもかっこいい(バンドが)作品になってます!是非劇場に観に来てください!お願いします!あとファンディングの七分袖は私が個人的に欲しくてわがままで七分袖作りました!買ってくださるととても私喜びます! かわいいので是非チェックしてください!!
荒木 作品の完成度としては役者や演出はまだまだですが、音楽がもうバチくそカッコイイです!!! 全編オリジナル曲です!!!あの永山さんが歌詞を書き下ろしてくれた曲もあります!! 絶対的に面白いと思ってもらえることだけは厳然たる事実です! よかったら劇団初のビフォーイベントもあるので、そちらもあわせて本公演を観に来てもらえたら嬉しいです!よろしくお願いいたします!
初日前日の4月19日(金)には、「劇トツ×20分」2018で優勝した作品『100万回残念な男』や、これまでの劇中歌を披露する「ビフォーイベント」と題した前夜祭を実施。出演は、荒木宏志、藤本美花子、園田有由美(ピンキースカイ)、高園渚(ピンキースカイ)。料金は1,000円。ビフォーイベントチケットの半券提示で、『カチカチ山』公演チケットが500円割引になる。
また、20日(土)19時公演終演後は「演劇とコントの違いについて」と題したトークを有門正太郎(有門正太郎プレゼンツ)と、21日(日)14時公演終演後は「カチカチ山について」と題したトークを永山智行(劇団こふく劇場)と行う。
インタビューにあるように、劇団ヒロシ軍は現在『カチカチ山』上演資金協力を募る「ヒロシ軍ファンディング」を行っている。
出演は、荒木宏志、中村幸。音楽は、柳田裕輔(Gt)、坂元陽太(Ba)、衛藤和洋(Dr)。
チケットは、一般2,500円(当日3,000円)、U-22 1,000円(当日1,500円)。北九州芸術劇場オンラインチケット、北九州芸術劇場プレイガイド、予約フォームでの取り扱い。
お問い合わせは、劇団ヒロシ軍komagekihiroshigun@yahoo.co.jp、080-1772-7006まで。
劇団ヒロシ軍 第15回本公演『カチカチ山』
原作:太宰治
構成:永山智行(劇団こふく劇場)
演出:荒木宏志
日時:2019年4月20日(土)14:00/19:00★
21日(日)14:00★
★アフタートークあり
会場:北九州芸術劇場 小劇場(北九州市小倉北区1-1-1-11)
料金:一般2,500円(当日3,000円)
U-22 1,000円(当日1,500円)
【関連サイト】
『カチカチ山』特設サイト
劇団ヒロシ軍
劇団ヒロシ軍(Facebook)
劇団ヒロシ軍(Twitter)
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