ジャカっと雀が荒唐を「有形」する新作

2019.11.21

ジャカっと雀(福岡)が『荒唐』(脚本・演出:桑森ケイ)を11月30日(土)~12月1日(日)、福岡市博多区祇園町のぽんプラザホールで上演する。

ジャカっと雀 vol.4『荒唐』

モノか、コトか、ヒトなのか、分かんないけど、なんか、多いなぁと思う。
アレか、コレか、どっちが良いですか?ところで私が決めて良いんでしょうか。
私はどっちでもいいんですけど、決めなきゃいけないんですもんね。
知らなくてすみません。興味がなくてすみません。配慮が足りず、すみません。
分からなくて、すみません。ゲームオーバーなら受け入れます。
そんなスタンスで、すみません。謝ってばかりですみません。
……暗い気持ちが続くけど、なんとか生きていかきゃいけないみたいで。
生き続けなければならないみたいで、なんだかそれは絶対っぽくて。
何をよりどころに、判断基準にすればいいんだろうねって、悩むことがままあって。

2017年に学生劇団として結成、九州大学の2つの演劇部をルーツとするジャカっと雀。今年は初の自主公演の上演、劇団言魂(北九州)と合同で福岡・北九州2か所公演を行うなど精力的に活動している。脚本・演出を担当する桑森ケイ、出演の青野大輔、五十嵐晴香から本作に対する意気込みが届いた。

―本作はどのような作品でしょうか?

桑森 「荒唐」は実在する単語です。意味は「言うことに根拠がなく、とりとめのないこと。また、そのさま」。辞書によって細かい差はあれど、だいたいこのように書かれています。なのでこれは、正しいことなんだと思います。人生は判断の連続のように思います。口コミ、値段、将来性、願望などなどたくさんのことを材料として、買う、買わない、ウソ、本当、良い、悪い、好き、嫌い…といろんな判断を重ねます。一度きりの人生、良いものにしたい!? 「若さを大事に」なんていっぱい言われるのでなおさら切実。確かなことって一体何? 何を根拠にすればいい? 今作『荒唐』では、そんな問いに、せめて“確からしい身体”で立ち向かおうと、身体をほぐし、知り、扱う稽古を積んでまいりました。二人芝居で約80分、囲み舞台。ストーリーこそあれど、眼前の役者の身体を存分に眺めながら荒唐を体験していただく、そんな演劇作品になるかと思います。

―mola!をチェックしている方へメッセージをお願いします!

青野 はじめまして。青野といいます。福岡の劇団、非・売れ線系ビーナスに所属、ジャカっと雀へは今回初出演です。初で二人芝居、なかなか背負ってるものが大きいなと感じています。いろんな媒体がある中で演劇として表現する意味ってなんだろうなと、生意気にも考えることがあるのですが、僕は「目の前にいることの確かさ」っていうのがひとつ重要なポイントなんじゃないかと思うんです。役者とお客様がどちらもそこにいて、同じ空気を吸って、同じ時間を共有してる。これは確かなことで、何かそれ以上に繋がれるものがひとつでもあれば、演劇として表現する意味もあるんじゃないかなと思うんです。なんて御託を並べてみましたが、80分という必ず進むしかない時間、その確かさから生まれる何かを少しでも感じとっていただける作品にできたらと思ってます。劇場でお待ちしております!
五十嵐 二人芝居は、2月に行った旗揚げ公演『恋のジャカリズム』の『血潮』以来です。とっても不安です。すっぽんぽんで舞台に立つような心持ちです。本番までに服を着られるように成長するか、もしくは青野くんにもすっぽんぽんになってもらって裸族二人芝居として仕上げるかの二択です。どっちに転ぶかはわかりませんが、観てよかったと思える作品になるようまだまだ頑張りますので、服をちゃんと着ているか確認しにぜひいらしてください。
桑森 自分で書いておきながら脚本が難解でして……。「生きる」ことを扱っている作品なので、それはもういろいろな言葉が降ってきます。すなわち遊び方がたくさんあるということでもあり、苦闘しつつも楽しみながら演出をつけております。この作品を創るきっかけとなったことのひとつに、“ネオ道徳”というものがあります。恥ずかしながら僕が作って勝手に使ってるワードです。先日の参議院議員選挙。記憶に新しいかと思います。夜、某党について某SNSで検索を更新し続けておりましたら、「激務と言われる国会議員を障がい者が務められるわけないだろう」……みたいな書き込みを結構な数見かけまして、「令和にもなってそんな心無いことを言う人がいるのか」と驚いたのです。……これを読んでくださってる方の中でも、僕が何を言ってるのかよくわからない、という方もいらっしゃるかもしれません。これ、当然のことなのかもしれないけれど、怖いことだなあと思ったのです。似たような、イニシエーションのどこかでは習わないような、“ネオ”な道徳、指標、基準、決まりがたくさんあるような気がして、それにかなり息苦しさを感じるのです。役者二人で80分。逃げも隠れもできない囲み舞台。役者二人の頭の中はそれはもうぐるんぐるんかと思います。なんだか現実の僕を重ねてしまいそうになります。まだ未熟で荒削りのところも多いけれど、「これを観てから福岡演劇界を語ってくれ」くらいのつもりで作っております。
何はともあれ、演劇作品ですので、まずはこの作品を「観る」という判断をお願いしたいところです。ぽんプラザホールにてお待ちしております。

出演は、青野大輔(非・売れ線系ビーナス)、五十嵐晴香。

チケットは、前売1,000円(当日1,300円)。予約フォームでの取り扱い。

予約・お問い合わせはジャカっと雀制作部info@jakatto.net、080-6649-9392まで。


ジャカっと雀 vol.4『荒唐』

脚本・演出:桑森ケイ
日時:2019年11月30日(土)14:00/19:00
       12月1日(日)13:00/18:00
会場:ぽんプラザホール(福岡市博多区祇園町8-3)
料金:前売1,000円(当日1,300円)

【関連サイト】
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ジャカっと雀 vol.4『荒唐』

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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