三島由紀夫の『葵上』で演出コンペ
第9回福岡演劇フェスティバルにて、創作コンペティション『一つの戯曲からの創作をとおして語ろう!』vol.5 上演審査を5月22日(金)~23日(土)、福岡市博多区祇園のぽんプラザホールにて行う。
福岡市文化芸術振興財団が主催する舞台演出家のコンペティション。書類審査、プレゼン審査を通過した3名の演出家が課題戯曲、『葵上』(翻訳:三島由紀夫、「近代能楽集」より)を最終審査として上演する。2日目の5月23日(土)には、公演後に舞台上で審査員による公開審査会を実施し、上演された3作品の中から、最優秀作品賞が決定する。
最終審査に出場する3名の演出家、舘亜里沙、藤原佳奈(mizhen)、和田ながら(したため)から、コメントが届いた。
舘亜里沙
「なぜ葵は死ななければならなかったのか」という問いに始まって、私の描く『葵上』はどんどん形を変えてゆきました。たくさんのアイディアが生まれては消えてゆきましたが、最後に残ったのは「この戯曲は1つの“楽曲”として上演出来る」ということ。そして、「登場人物達の奥に、彼らに一歩距離を置きつつ共感している“作者”の姿がある」ということでした。言葉・声・音・音楽に向き合い続けて、結果として生まれた今回の世界を、お楽しみいただければ幸いです。
藤原佳奈(mizhen)
今まで、劇場ではなくギャラリーでの上演、そして自分が書いた言葉を演出するという創り方で作品を上演してきました。今回の機会を頂戴して、改めて自分の創作態度を振り返ったとき、今迄の創作は“リアクション”に頼ってきていたのだと気がつきました。空間に、言葉に、俳優の身体に、どうアクションして、態度を示すのか。それは演出家としては当然の作業だと思いますが、今回、改めて真摯に向き合いたいと思っています。
和田ながら(したため)
このコンペに応募しなければ、三島由紀夫のテキストで作品をつくるということは一生なかったかもしれません。初めて『葵上』を読んだ時は正直、途方に暮れました。この言葉を自分がどうやって聞くことができるのかわからなかった。でも、稽古に取り組んでいる今、わたしはかなり興奮しています。三島の言葉と真剣に遊ぶことができる幸運に。この遊びには、楽しさと怖さが同時にあります。そのどちらにも呑まれずに、上演を迎えたい。
平安時代に描かれた長編小説、源氏物語。その、源氏物語「葵」を基に世阿弥が改作したとされる能楽「葵上」。三島由紀夫が、時間や空間を自由に超える能の特性を生かし、近代劇に翻案した『葵上』。平安、室町、昭和、という時代を超えて、小説・謡曲・戯曲と形を変えた文学作品を、3名の演出家が今どのように舞台に立ち上げるのか。
チケットは前売1,000円、当日1,500円。取り扱いは福岡市文化芸術振興財団、文化芸術情報館アートリエ。お問い合わせはffac-02@ffac.or.jp、092-263-6265(平日10:00~17:00)福岡市文化芸術振興財団まで。
創作コンペティション『一つの戯曲からの創作をとおして語ろう!』vol.5 上演審査
上演戯曲:『葵上』(翻案:三島由紀夫『近代能楽集』より)
演出:舘亜里沙、藤原佳奈(mizhen)、和田ながら(したため)
審査員:岡田利規(チェルフィッチュ)、前川知大(イキウメ)、松井周(サンプル)、森山直人(演劇批評家)、山田恵理香(空間再生事業 劇団GIGA)、山田真実(ttu / vol.4受賞者)
日時:2015年5月22日(金)19:00
23日(土)13:00
会場:ぽんプラザホール(福岡市博多区祇園8-3)
料金:前売1,000円、当日1,500円
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