Stereo ArTがリーディング作品をリメイクし本公演
Stereo ArT(長崎)が『濁る水』(作・演出:田中俊亮)を10月24日(土)~10月25日(日)、長崎市宝町の宝町ポケットシアターで上演する。
F’s Company(長崎)に俳優として所属し、自身の劇団Stereo ArTでは、劇作・演出もこなす田中俊亮。本作『濁る水』は、田中が2010年にリーディング公演として発表した『ほたる』を土台としてリメイクされた作品。作品のことやリメイクするにあたっての動機について、代表の田中俊亮に訊いた。
—まずは、『ほたる』や『濁る水』を創作しようと思ったきっかけについて教えてください。
作品の元となった美しい原風景。清流や豊かな自然に囲まれた川棚町石木郷に、足を運んだことが最初の物語『ほたる』を生むことになりました。その土地に興味を持ち、その土地の事を書いてみようと2010年リーディング公演として世に出してから、5年の歳月が流れましたが、新たに取材などを行い『濁る水』が生まれました。
—田中さんは山口県のご出身ですが、川棚町とは山口県の川棚町ですか?
瓦そばや温泉で有名な山口県下関市豊浦町にある川棚を思い浮かべる方も多いかと思いますが、今回の川棚町とは長崎県東彼杵郡川棚町の事なんです。僕自身、こちら(長崎)に住んで10年以上になりますが、同じく主要道路が海の近くを通る長崎の川棚を知った当初はシンパシーを感じました。穏やかな大村湾と日本海では、海の様子は全然違いますが…。
—5年を経て新しい作品として世に出そうとした思いやきっかけを教えてください。
リーディング公演として上演したものの、この作品を本公演として世に産み出していない事は、今回の主題でもある石木ダム問題が自分の中で生き続けている事と同じようにずっと気になっていました。5年の時を経て、当初は本公演としての「再演」を考えていましたが、再度取材を行う中で、この5年間で起こった出来事、そして何より、反対派住民の方々がこの5年の間も闘ってきたという事実を、自分も作品の中に盛り込みたいと思い至り、完全リメイクという形をとることになりました。
—「その土地に興味を持ち、その土地の事を書いてみよう」とは具体的にどういうことですか?
興味の中心は、その土地の「異質」さです。美しい自然が残り、いわゆる、日本の田舎といった原風景の中に建設反対の意志を示す看板や櫓など、明らかに殺風景なものが建っていた事。こうした形でふるさとを「汚してしまう」行為をどんな気持ちで住人の皆さんが行ったんだろうと考えた事がきっかけとなりました。そして、この作品はダム建設問題を軸としたストーリーとなっています。通常の場合、こういった問題に関しては双方の意見を取り入れる手法を使いますが、今回は敢えてダム建設に反対する立場からの視点を描いています。
—最後にこのインタビューを読んでいる方にメッセージをお願いします。
知る演劇、考える演劇、笑える演劇、泣ける演劇…と、演劇には沢山のカタチがありますが、今回の「濁る水」は、行く演劇かなと思います。作品を観る前でも、もちろん観た後であっても、是非一度現地に足を運んでほしい、そこにはきっと、劇場で観劇する演劇と同じように,ネットやテレビでは感じられないものが沢山詰まっているはずです。
そう遠くない未来、現実になるかもしれない話。ダム研究会に所属する学生たちは団結し闘い続ける人々を想う。清流、豊かな自然、受け継いだ棚田、そして蛍。2015年、彼らは「その地」を訪れる。5年の時を経て変わったもの、変わらないもの。「絶対反対」の意思は今尚、美しい原風景と共に「その地」に生き続けている。
出演は、中野俊太郎、浅野芽依、小山正平、大河内聡輔、石長由紀子。
チケットは一般1,500円(当日2,000円)、大学生以下1,000円(当日1,500円)。予約・お問い合わせはmegumi@fs-company.com、090-8415-7400まで。
Stereo ArT 6th-Live『濁る水』
作・演出:田中俊亮
日程:2015年10月24日(土)16:00/21:00
25日(日)14:00/19:00
会場:宝町ポケットシアター(長崎市宝町5-25-2F)
料金:一般1,500円(当日2,000円)
大学生以下1,000円(当日1,500円)
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