宮崎県立芸術劇場が新たなプロデュース公演開始
公益財団法人宮崎県立芸術劇場(宮崎)が「新 かぼちゃといもがら物語」#1『板子乗降臨』(脚本:土田英生、演出:永山智行)を2月15日(水)~19日(日)、宮崎市船塚のメディキット県民文化センターイベントホールで上演する。
宮崎市から車で一時間ほどの場所にある樅ノ町(もみのまち)。山の上にある樅の巨木と無農薬野菜が売りの、これといった特徴のないこの町に、県外から一人のサーファーが移住してきた。地元製薬会社が樅ノ町に計画する研究施設建設への反対運動を盛り上げようと奮闘するが、彼の存在がきっかけとなって、地元住民の関係性が少しずつ崩れていき……。
これまで「演劇・時空の旅シリーズ」で『女の平和』『三人姉妹』『日本のへそ』『ゴドーを待ちながら』など日本・世界の名作を上演してきた宮崎県立芸術劇場が、新たなプロデュース公演を立ち上げる。「新 かぼちゃといもがら物語」の“かぼちゃといもがら”とは、しっかり者の女と、頼りなくお人好しな男のことを表す宮崎の方言「ひゅうがかぼちゃ」と「いもがらぼくと」から由来している。宮崎県立芸術劇場企画広報課の工藤治彦に、「新 かぼちゃといもがら物語」のコンセプトなどについて訊いた。
ー今回の公演は、「新 かぼちゃといもがら物語」の第1弾ということですが、まずは「新 かぼちゃといもがら物語」という企画がどういう目的で始まったかを教えてください。
宮崎県立芸術劇場が、宮崎を舞台にして、宮崎の人々の暮らしを描いていくことをとおして、国内の地方都市やそれぞれの地域が抱える地域課題など、日本の“今”が見えてくるような普遍性の高い作品づくりを目指して始まりました。
ー宮崎県立芸術劇場では、プロデュース公演として昨年まで「演劇・時空の旅シリーズ」を続けてきましたが、「演劇・時空の旅シリーズ」と今回から始まる「新 かぼちゃといもがら物語」の違いはどういうところですか?
「演劇・時空の旅シリーズ」は、世界の名作と呼ばれる古典戯曲を題材に、九州という地域エリアを軸に進めていましたが、「新 かぼちゃといもがら物語」では、前シリーズで培ったノウハウやネットワークを活かし、さらに一歩進んで、宮崎から全国に通用する舞台作品を作りあげていくことに注力していきたいと考えています。また、この企画では「外から見た宮崎(外側から見るからこそ見えてくる宮崎の姿)」という視点がひとつの指針になっており、キャスティングやスタッフィングにおいても、宮崎や九州外の人材を起用することで、新しい視点やアイデアを積極的に組み込んでいくことを念頭においています。
ー今回、脚本はMONO(京都)の土田英生さんが務められていますが、土田さんに脚本を依頼することになった決め手はなんですか?
土田さんは、舞台だけでなくTVドラマの脚本も手掛けており、愛知県出身で京都を拠点にしながら活動を続けていています。作風は、笑いの要素を取り入れながらも鋭い社会風刺の視点が入っており、「新かぼちゃといもがらシリーズ」の第一作としては、シリーズが目指すもの、作品の受け入れやすさという点で最も適任だと考えて、脚本を依頼しました。
ー今回初となる「新 かぼちゃといもがら物語」。『板子乗降臨』の見どころを教えてください。
宮崎の架空の町・樅の町(もみのまち)を舞台に、製薬会社が建設を予定する研究施設を巡って、ある家族を中心に、その土地で暮らす人々の人間模様の闇をユーモラスに描いた作品になっています。人間模様の渦に変化をもたらすのは、渡部豪太さん演じる、神奈川からやってきたサーファーの横須賀充という役です。そこでは、地域経済や産業、土地のしがらみといったことについて、以前からその土地で暮らす人、外から戻ってきて暮らす人、外からやってきた人の差、そして、その土地で生きていくことを決めた者の覚悟が描かれています。決して宮崎だけにとどまらず、国内の地方都市と呼ばれるすべての地域の方々に届くことができるような、普遍性の高い作品になっています。
これまで培ったノウハウを土台として始まる新シリーズ、「新 かぼちゃといもがら物語」。宮崎ならではの作品が全国発信される日を期待して、まずは第1弾『板子乗降臨』の上演を楽しみに待ちたい。
出演は、渡部豪太、熊川ふみ(範宙遊泳)、実広健士(ぐるーぷ連)、あべゆう(劇団こふく劇場)、河内哲二郎、日髙啓介(FUKAIPRODUCE羽衣)、酒瀬川真世、大迫紗佑里(劇団こふく劇場)。
チケットは、一般4,000円(当日4,500円)、一般劇場会員3,600円(当日4,100円)、U25割2,000円、ペア割7,000円(前売のみ)、ペア劇場会員割6,300円(前売のみ)。メディキット県民文化センターチケットセンター0985-28-7766、インターネットチケットサービス、宮崎山形屋09885-31-3202、宮交シティ0985-51-1311、蔦屋書店宮崎高千穂通り0985-61-6711、チケットぴあ(Pコード:455-318)での取り扱い。
お問い合わせは公益財団法人宮崎県立芸術劇場0985-28-320まで。
「新 かぼちゃといもがら物語」#1『板子乗降臨』
脚本:土田英生(MONO)
演出:永山智行(劇団こふく劇場)
日時:2017年2月15日(水)19:00
16日(木)19:00
17日(金)19:00
18日(土)14:00★
19日(日)14:00
★アフタートーク開催
会場:メディキット県民文化センターイベントホール(宮崎市船塚3-210)
料金:一般4,000円(当日4,500円)
一般劇場会員3,600円(当日4,100円)
U25割2,000円(当日2,500円)
ペア割7,000円(前売のみ)
ペア劇場会員割6,300円(前売のみ)
【関連サイト】
メディキット県民文化センター
※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。