HANARO project4回目となる日韓演劇交流公演『セレモニー』
HANARO project vol.4福岡&釜山連続公演『セレモニー』(作:パク・フニョン(劇団俳優倉庫)、福岡公演演出:幸田真洋(劇団HallBrothers)・釜山公演演出:ソン・グヌク(劇団RESET))が6月15日(木)~18日(日)に釜山広域市水営区水営路のチョンチュンナビアートホール、6月30日(金)~7月2日(日)に福岡市博多区下川端町の福岡アジア美術館 あじびホールで上演される。
釡山港発、博多港行きの1泊2日の船上ウェディングパーティー。おりしも2018年ロシアW杯への出場を占う上で最も重要なサッカー韓国代表と日本代表の親善試合の日。新郎は韓国人で新婦が日本人。ごく普通の国際結婚のはずだった。子煩悩な母親、お調子者の男友達、心配性の父親、酔っ払いの叔父、天然の姉、韓国ドラマ好きな女友達、そして、謎の女…それぞれの思惑が、それぞれの言語で交錯しながら、船は、徐々に暗雲に包まれていく…はたして、異文化カップルの一生に一度の大切な「セレモニー」は、完遂する事が出来るのか?
福岡と釜山の演劇的文化交流企画「HANARO project」の4回目となる企画。今回は第32回釜山演劇祭で演出賞と戯曲賞を受賞したパク・フニョン(劇団俳優倉庫)が戯曲を担当。福岡公演の演出は、劇団HallBrothersの幸田真洋。物語全体を前後半に分け、それぞれを釜山チームと福岡チームが描く。HANARO projectについて、福岡・釜山交流広場の日下部信と福岡公演演出の幸田真洋に訊いた。
ー4回目となる「HANARO project」ですが、この活動を行うきっかけ、趣旨・目的、これまでどのような交流(作品)を行ってきたか教えてください。
福岡と釜山との演劇交流を促進していくことを目的として、福岡・釜山交流ひろばを2013年6月に発足。これまでに脚本、演出、出演、制作支援、通訳など多岐に渡り、日韓に関わる演劇のサポートを続けてきました。
今回で4回目となる本企画は、これまで、日韓それぞれの戯曲を交換して韓国の作品を日本人がつくるというような形式や、1本の1時間ものの戯曲を、両地域の演出家がそれぞれ創りあげ、連続上演する形式がありました。
ー本作『セレモニー』はどのような作品ですか?
幸田 非常に肉体的な作品だと感じました。元気いっぱいでテンションが高い。感情の起伏も激しい。肉体の強さ、たくましさから来るテンションというか。
僕が普段劇団で作っている芝居は自然な日本人の姿を描くことを心がけているんですけど、その観点で言うと荒々しいですね、『セレモニー』の登場人物たちは。逆に日本人は軟弱だな、と。僕が普段作っている芝居や人物たちが文化部だとしたら、運動部みたいな。そんなテンションの高さ・強さ・激しさを感じました。
最初、いつもの日本的な、文化部的なノリでやってみるかとも考えましたが、それだと一本の芝居として前半の釜山チームとの整合性が取れない。じゃあ文化部も教室を飛び出して、運動部になってやろうじゃないかと決めました。
僕らは後半の日本側控え室・新婦とその親族のドタバタを主に担うのですが、そこで描かれている姿は日本人であっても日本人ではない部分もあって。そりゃ韓国の方が書いたものだから韓国的な身体性になるのは当然だし、そこを無理に僕らの身体性に合わせるのも違うかなと思いました。
僕は自身でも本を書くので、書かれていることは大切にしたいし、そこを表現したい。だったら運動部になるしかないぞと。前半の釜山チームと違いをつけて、お互いの身体性の違いを強調する演出ではなく、真っ向勝負していこうと考えています。
日下部 韓国の新進気鋭の劇作家パク・フニョンが書き下ろした新作です。舞台は、釜山港を出た船の上で、日本人女性と韓国人男性が結婚パーティーをするという話です。物語をサッカーの試合になぞらえ、前半を釜山・新郎側の場面、後半を福岡・新婦側の場面、そして最後に一緒の場面が待っています。
演出家については、釜山側は、これまでより若手で成長著しい勢いを買って選びました。福岡側は、着実に実績を積み、人間の営みを精緻に描ける演出家として選びました。
ー発見や苦労話などがあれば教えてください。
幸田 劇団で長くやっていると共通言語もできてくるし、僕の言いたいことをなんとなく察してくれるようになります。それらは効率的ではあるけど、演出の言葉が貧相にもなっていく。なので、たくさん言葉を使って、丁寧に役者さんたちとやり取りすることを心掛けています。
とはいえカンのいい役者さんたちばかりなので、今のところは特に苦労もせず、スムーズに積み上がっていってるんですけど。
あとは、みなさんそれぞれに色んな技を出してきてくれるので、見ていて楽しいですね。
ー今後の展望や目標などはありますか?
両地域に根付いた題材から物語を創作し、1本の作品ぜんぶを共同製作出来るようになりたいと思っています。また、韓国の演出や演技の優れた部分をしっかりと習得していきたいです。
ーmola!をご覧の方々にメッセージをお願いいたします。
幸田 以前韓国の芝居を見たことありますが、役者さんの劇的な演技に心を動かされました。
言葉はわからなくても伝わるものがあったんです。熱とか魂とか、見えないけれど、しかし不可欠なものがしっかり宿っているように感じました。
前半の釜山チームの熱を感じるだけでも見る価値はあると思いますが、僕らも脱・文化部、がっぷり四つで戦っていくつもりです。
ラストはサッカーの試合を終えた時のような爽快な気分にもなると思いますし、是非、劇場へ足をお運びください。お待ちしています!
日下部 まず韓国語や韓国ドラマが好きな方はぜひ直接、この舞台でも触れて頂きたいです。そして日本人と韓国人が共に結婚式を演出する演劇公演は、ほかではなかなか観ることが出来ないと思いますので、ぜひ目撃して下されば感謝です。
出演は、福澤究(office・SUN9)、宮木秀明(Act.base)、久保真理奈、藤井啓子、倉本星華、クク・ミニョン、イ・ジェウ、キム・ジンジュ、ヨ・ジョンヒョン、キム・チョロク。
福岡公演チケットは前売2,500円(当日3,000円)、学生1,800円。
予約・お問い合わせはHANARO project hanaroproject.info@gmail.com、080-3984-7814(担当:ヤマダ)まで。
HANARO project vol.4 福岡&釜山連続公演『セレモニー』
作:パク・フニョン(劇団俳優倉庫)
福岡公演演出:幸田真洋(劇団HallBrothers)
釜山公演演出:ソン・グヌク(劇団RESET)
【釜山公演】
日時:2017年6月15日(木)20:00
16日(金)20:00
17日(土)15:00/19:00
18日(日)16:00
会場:チョンチュンナビアートホール(釜山広域市水営区水営路657)
【福岡公演】
日時:2017年6月30日(金)14:00/19:00
7月1日(土)14:00/18:00
2日(日)14:00
会場:福岡アジア美術館 あじびホール(福岡市博多区下川端町3-1リバレインセンタービル8F)
料金:前売2,500円(当日3,000円)
学生1,800円
【関連サイト】
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