『奪われた手紙~民間検閲局~』が再び!北九州・長崎で

2017.07.03

ギンギラ太陽’S×劇団ショーマンシップ公演『奪われた手紙~民間検閲局~』2017(脚本:生田晃二・大塚ムネト、演出:大塚ムネト・仲谷一志)が7月30日(日)に長崎市上町のNBCビデオホールで、8月4日(金)~6日(日)に北九州市八幡東区枝光本町の枝光本町商店街アイアンシアターで上演される。

ギンギラ太陽’S×劇団ショーマンシップ公演『奪われた手紙~民間検閲局~』2017

1945年の敗戦後、博多の街に戻ってきた長門栄治郎。
家も焼け、家族の生死もわからず、自暴自棄になっていたところを、闇市で働く康子という女性に助けられる。生きる希望を取り戻した栄治郎は、新聞に掲載されていた欧文タイプライター募集の広告を見て、応募することに。
英語の試験を受け採用された職場は、GHQが設置した民間検閲局だった。そこでは、本、新聞、ラジオ、そして個人の手紙までが検閲にかけられ、GHQにとって不都合な内容は、発行停止や処分されていた。敵だと教えられてきた米軍の下で、同じ日本人の手紙を検閲するという仕事に罪悪感を抱えながらも、生きる為に働く栄治郎。
そんなある日、康子宛の手紙が見つかる。検閲の対象になっていた手紙の扱いに悩む栄治郎の前に、検閲によって消された『言葉達』が現れる。『言葉達』は栄治郎を「裏切り者」と責め立てる。
そこに現れたのは、かつて搭乗機だった零戦だった。

2015年に「戦後70年プロジェクト」として甘棠館Show劇場で1か月のロングラン公演を行った本作。翌年には実際に検閲局があった東京、大阪、福岡の3都市での上演を行い、大きな反響を得た。今回の上演地は、原爆が投下された長崎と、原爆が投下されていたかもしれない北九州。劇団ショーマンシップ仲谷一志に、今回の公演について聞いた。

ー2015年に「戦後70年プロジェクト」として制作された本公演ですが、どのような経緯で始まったのでしょうか?

ギンギラの大塚さんと僕(ショーマンシップ仲谷)が、それぞれに2015年は戦後70年の節目であることを意識していました。
そして「何か」をやりたい、「何か」はやはり作品創りでしかないと考えてました。
ギンギラには『天神開拓使』という福岡大空襲を背景に、福岡・博多の街を描いた代表作があり、ショーマンは戦後GHQが設置した民間検閲局をテーマに新作を創る構想がありました。
そこで、二つの作品を、続けて上演することで「戦後70年プロジェクト」として発信しようと考えました。

具体的には『天神開拓使』にショーマンの看板女優の原岡梨絵子と、ほとんど他劇団の公演には出演してこなかった僕が出演しギンギラの芝居創りを経験し、その後『奪われた手紙〜福岡民間検閲局〜』を完全にコラボして一カ月間のロングラン公演を行うという柱を立てました。

結果、実際に検閲局で働いていた方とお会いして話しを聞かせて頂いたり、作品を観たRKBラジオの制作者がラジオドラマ制作の話しをもらったり、タレント、お笑い芸人さん、DJと言ったジャンルを超えたゲストに出演してもらったりと自分達のイメージを超えた活動と広がりがあり、一カ月間のロングランの千穐楽には、「この活動は、戦後70年の節目だけで、終わらせてはいけない。」と感じ、翌年の実際に民間検閲局が設置された東京、大阪、福岡の三都市公演の構想が生まれていました。

ーギンギラ太陽’Sと劇団ショーマンシップ公演、両団体がコラボしよう! となったきっかけなどはありますか?

2014年に福岡出身で東京裁判では文官で唯一極刑となった広田弘毅を題材にした、ショーマンシップ公演『沈黙は語る』を、彼の母校である「大名小学校」、「修猷館高校」で上演し、そして「甘棠館」で公演、さらには直方の「ユメニティのおがた」で公演するという企画がありました。しかも大名小学校はその年に閉校が決まっているという、地元の劇団でしか創れない深い縁を頂いた企画でしたが、肝心の僕のスケジュールが全日程は取れませんでした。
そこで、絶対断わられると思っていた大塚さんに僕とダブルキャストでの出演をオファーしたところ、あっさり引き受けてくれました。(笑)
引き受けてくれたのは嬉しかったけど、僕の勝手なイメージだと、きっと稽古場は一筋縄ではいかない、僕の演出に簡単に従ってもらえないだろうと思ってましたら、これまた素直な俳優さんで(笑)、むしろ僕が役者で稽古を進める場では演出助手のような動きをしてその様子に「この人、本当に芝居を創ることが好きなんだなぁ。」
と感じさせられました。
その稽古や本番中に、沢山の会話をするのですが、もちろん話は芝居のことばかり、その中で、このコラボが誕生したと言えます。

ー70年前という時代を題材としていますが、これらを取り上げるに当たり、苦労や難しさ、発見などはありましたか?

作家陣の取材の中で70年たったから表に出てきた事実が、幾つもあります。
しかし、その間そのことに苦しんだり、自分を責めたりしながら生きてきた世代がいる中、いや今尚、苦しんでいる方々がいる中、我々が演劇として物語にすることは、安易に考えてはいけないと思いました。
それと同時に、戦争を知る世代が減る中、この作品を今、ギンギラとショーマンの若い役者が創ることには、とても意味があるとも考えました。

丁寧に、丁寧に事実を刻む

その覚悟を決めました。

ー時代を超えた共通性、普遍性などはありましたか?

初演の2015年には安保法案、今年は「共謀罪」の成立要件を絞った「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が可決されました。
実は、今回の公演の前に広島の中学生、高校生に向けて公演をする機会があったのですが、外国人も含め多くの人が平和記念公園を訪れていました。
人間は、素晴らしいし恐ろしい生き物であることを感じました。
芝居で世の中を動かすことは出来ないけど、人の心を動かすことは出来るかもしれない。
人の心が動けば何かが動くかもしれない。
その可能性を信じて、今この作品上演しています。

大塚ムネトさん、仲谷一志さん、両名の演出で、おふたりが協働で演出されることへの、苦労したことや気付きはありましたか?

とにかく、二人でよく話しました。(笑)
役者への指示は必ず二人で納得したことを、どちらか一人が伝えるという原則がいつの間にか出来ました。
その二人の話しは、まわりから見ると、本当に楽しそうだったらしいです。
東京公演を観てくれた林雄大という役者が「福岡の演劇界で芝居創りとなると、最も『子ども』な二人が喧嘩せずに、一緒に芝居を創ってることは奇跡だ!」と言っていたと後から聞きました。彼はギンギラの舞台もショーマンの舞台も経験しているので、説得力はあるのですが、少しイラっときた僕はやはり子どもかもしれません。

ー最後にmola!をご覧の方へメッセージをお願いいたします!

原爆の悲劇を受けた長崎と当初の目標とされていたと言われる北九州での公演です。
2017年度版には、当時の八幡製鐵所のエピソードも追加しています。

そして、この作品には生きる希望が沢山散りばめられています。作品の中に出てくる、長崎で原爆の被害を受けた少女の記録本「雅子斃れず」の作者、柳川雅子さんがこの作品を観たあとに「『戦争』をテーマにしたお芝居でまさか大笑い出来るなんて思いませんでした。元気になりました」と言ってくれました。
是非、作品を観て、「笑って」「泣いて」「考えて」1番大切な人に自分の言葉で「伝えて」もらえたら嬉しいです。

出演は、大塚ムネト(ギンギラ太陽’s)、仲谷一志、原岡梨絵子、上田裕子、杉山英美、山浦奈美、中野隆、栗野直樹、寺崎索、東沙耶香、井上京介、山口泰弘、村田顕人、内山侑香、平岡七海。長崎公演ゲストにちんねん、北九州公演ゲストに8月4日(金)・5日(土)が岡進太郎(10神アクター)、6日(日)がゴリけん。

チケットは、前売3,000円(当日3,500円)。長崎公演予約フォーム北九州公演予約フォーム、長崎・北九州共通でローソンチケット(Lコード:81607)、チケットぴあ(Pコード:458‐808)での取り扱い。

予約・お問い合わせはショーマンシップ092‐716‐3175まで。


ギンギラ太陽’S×劇団ショーマンシップ公演『奪われた手紙~民間検閲局~』2017

脚本:生田晃二・大塚ムネト
演出:大塚ムネト(ギンギラ太陽’S)・仲谷一志(劇団ショーマンシップ)
料金:前売3,000円(当日3,500円)

【長崎公演】
日時:2017年7月30日(日)14:00
会場:NBCビデオホール(長崎市上町1-35)

【北九州公演】
日時:2017年8月4日(金)19:00
        5日(土)19:00
        6日(日)14:00
会場:枝光本町商店街アイアンシアター(北九州市八幡東区枝光本町8-26)

【関連サイト】
劇団ショーマンシップ『奪われた手紙~民間検閲局~』2017
『奪われた手紙~民間検閲局~』2017(Facebook)

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※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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