劇団きらら新作『プープーソング』池田美樹メールインタビュー
劇団きらら(熊本)が『プープーソング』(作・演出:池田美樹)を11月10日(金)〜16日(木)に熊本市中央区水道町のギャラリーキムラで、12月9日(土)〜10日(日)に福岡市南区大橋のゆめアール大橋 小劇場で上演する。
後悔が沸いてわいて仕方ない夜は、
頭の中で「思い出し祭り」開催しちゃう。
みーんなに出て来てもらって、飲んで食って踊ってもらう。
俺の勝手な、俺だけの祭り。
極力、人に深入りしたくない30歳の青年。
イケメン・チャラ男のキャラを生かして「レンタル彼氏」として稼ぐ日々。
しかしわずかな欲に目がくらみ、いちばん苦手な
「他人のやっかい」を背負い込むことに。
お酒・恋愛・SNS・ふとん…
いろんな「逃げ場」に逃避する自業自得な大人たち。
設立から30年を超えていまなお九州の第一線で活躍する劇団きらら。新作『プープーソング』は、例年の熊本・福岡公演に加えて、すでに来年の東京公演まで決定している。毎年、そのとき気になっていること、怖いと思っていることをモチーフに新作を創り、多くの人々の心を揺さぶっている劇団きららの代表で作・演出を務める池田美樹に、本作についてメールインタビューを行った。
ー個人的には冬の風物詩となっている劇団きららさんの新作公演ですが、最近の作品は、『ガムガムファイター』『はたらいたさるの話』などタイトルがユニークですね。今回の『プープーソング』もおもしろいタイトルですが、タイトルの由来を教えていただけますか?
「プープー(poo poo)」は英語の幼児語でうんこ・おしっこ。それが俗語で「クソ野郎」的な遣い方もするのだそうです。「あの映画はプープーだ」的な。ダメな人たちが出て来る話なので、それを使おうと思いました。更に、物語の最後でそのダメなところを笑えるような展開にしたいな、と思ったので「ソング」をくっつけてみました。
最初は『人が住んでる無人島』ってタイトルにしてました。でも信頼するライターの方に、「イメージは出来る。僕はきらら知ってるから行きます。でも知らない劇団だったらきっと行かない。」とキッパリ言われ、考え直しました。考え直してよかったと思います。あ、言ってもらってよかった、と思います。信頼度、高まりました。しかしどうしよう……と悩みながらブルーハーツを聞いていたら、大好きな「キスして欲しい」が。冒頭、「♪トゥトゥトゥ……」で始まるんですが、私はずっと「プープープー」と覚え間違っていて。それで「これだ!」と思いました。その後、歌詞をチェックして、間違いに気づきました。
「不義理から来る後ろめたさ」がモチーフです。不義理を金で解決しようとする、底の浅いイケメンがマルチで借金を作り、レンタル彼氏としてひと儲けしようと。しかしそこで他人の不義理に巻き込まれ、抜けるに抜けられずにいるうちに、視点が少し変わって行く、という物語です。いつも「社会的に旬なこと」を織り込みたいと思ってるのですが、今回は「レンタル彼氏」と「空き家問題」です。
ー池田さんが新作に取り組むときのテーマは、常に「今、いちばん怖いと思うこと」だと伺いました。池田さんでも怖いと思うことがまだまだあるんですね。今回の作品を書くにあたって怖いと思ったことはなんですか?
怖いこと、質を変えてどんどん増殖しています。繁殖、かな。もう、いろいろ怖い。どれも改善するとはまったく思えない。いつか達観したり鈍感になったり出来るんでしょうか。雑談や運動やtwitterやクスリ等で散らしていますが、お先真っ暗に感じることも多々あります。他人の若さや健康や才能や行動力に対するやっかみと諦観と、そんな心境に対する好奇心がぐるぐるです。
今回の「怖いこと」は、上記にも書いた「不義理から来る後ろめたさ」です。「そう言われて思いつくことある?」と聞くと、殆どの人が3秒くらい間を開けて苦笑いします。そして、「言えないけどある」と言います。それで、あぁこのテーマ、イケるな、と思っています。mola!さんはどうですか?
(編集註:あります。書こうと思っていた記事を飛ばしたときです)
ー新作を「書く」「上演する」ということを通して、怖さはどうなっていきましたか?
怖いです、新作。書くのも、作るのも、上演するのも。書き上がりが遅いので多方面に本当に心配と負担を掛けるし。
「再演は必要だ」という言葉をよく聞きます。作品を深める、作品の認知を広める、劇団の体力温存等、理由はよぉくわかります。きららでも何回もやってます。ただ、年間通してイベントやWSや外部演出を多々行ってる今、秋の本公演だけは「おまえの『今』は何だ??」というナイフを目の前に突き立ててやりたい(←自分に)。そこに好奇心がなくなったら、イベントもWSも外部演出も色褪せて行くのだと思います。
齢を重ねると、気力体力が減退して行く。だけど反比例するように「人の心持ちや社会の構造」に強い関心が沸いて来る。20代の頃は、自分より年上の人なんて十把ひとからげだったけど、この齢になると、いろんな世代の、いろんな状況の人の、いろんな背景が想像出来てしまって、苦しかったりもどかしかったりおもしろかったり。それを愉快に切実に届けたい。なので、キツい・でもやりたい、というジレンマが動力です。
とは言え、心身きしむことも多々多々。なので雑談や運動やtwitterやクスリ等に逃げます。
ー今回は現時点で東京公演も決定していますが、まずは熊本公演、初日の幕を開けるのが目標ですね。今回の公演の意気込みをお願いします!
「不義理から来る後ろめたさ」。皆さんが多分抱えていらっしゃるだろうそれらが、少しでも赦される気持ちになって頂ければ、と思います。多分、今、九州でいちばんの(底の浅い)イケメン・寺川長君(大帝ポペ)、東京帰りの謎のセクシー美中年・高松良成氏、右手と左手で別々なことが出来ないはまもとゆうか(大帝ポペ)、年増女の可笑しみを演じたら絶品のオニムラルミ、そして今回熱心な宗教勧誘おばさんを熱く熱演する池田美樹でお届けします。
ネタバレまったく無問題のきらら、ブログ・twetter等も制作がまめに更新しておりますので、そこでチラ見吟味して頂き、熊本・福岡・東京、いずれかに足を運んで頂ければと思います。
そして、こんなサブカル臭の強い本音コメントを許容してくれるmola!さんに大感謝! なんか公的なところがどこもやれないようなサブカル企画、是非一緒にやらせて下さい!
あ、もうひとつ!
チラシ撮影を行ったのは福岡市の西公園浴場さん。
「銭湯画」のある銭湯で撮影したい、と軽く調べ始めたら、熊本は、地震でいくつも廃業・休業。絶望しそうになったとき、休業中の熊本市の世安湯さん(11/1より再開!)がご縁をつないで下さったのが西公園浴場さんでした。バラ風呂、ラベンダー風呂等、いろんなイベントも満載!何より銭湯画のすばらしさ。興味ある方、是非こちらにも。
出演は、寺川長(大帝ポペ)、高松良成、オニムラルミ、はまもとゆうか(大帝ポペ)、池田美樹。
チケットは2,300円(当日2,800円)、日曜日割・平日昼割2,000円(当日2,500円)(※熊本11/12(日)13時/17時、11/13(月)14時の3公演のみ)、リピーター割引1,000円(要半券提示)。劇団きらら096-346-3437、メールgkirara@jcom.zaq.ne.jp、ローソンチケット(Lコード:83142)、CoRichチケット!での取り扱い。
お問い合わせは劇団きららgkirara@jcom.zaq.ne.jp、096-346-3437まで。
劇団きらら『プープーソング』
作・演出:池田美樹
料金:2,300円(当日2,800円)
日曜日割・平日昼割2,000円(当日2,500円)
リピーター割引1,000円(要半券提示)
【熊本公演】
日時:2017年11月10日(金)19:30
11日(土)14:00/19:30
12日(日)13:00/17:00
13日(月)14:00/19:30
14日(火)19:30
15日(水)19:30
16日(木)19:30
会場:ギャラリーキムラ(熊本市中央区水道町3-5 上通KビルB1F)
【福岡公演】
日時:2017年12月9日(土)14:00/19:30
10日(日)13:00/16:00
会場:ゆめアール大橋 小劇場(福岡市南区大橋1-3-25)
【関連サイト】
劇団きらら『プープーソング』特設ページ
劇団きらら(Twitter)
熊本銭湯 世安湯
熊本日日新聞「新しい湯船最高!! 熊本市の「世安湯」1年半ぶり再開」
※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。