非常口、東京公演直前インタビュー
演劇集団非常口(伊佐)が第19回公演『鱗の宿』(作・演出:島田佳代)を11月15日(木)~18日(日)に目黒区駒場のこまばアゴラ劇場で、11月23日(金)~24日(土)に伊佐市大口鳥巣の伊佐市文化会館で上演する。
童話作家・石渡哲司は失踪同然で鱗島へ移り住んだ。
鱗島には人魚の鱗を祀った「お人魚堂」があり、深い溜池があった。「鱗祭り」を翌日に控えたある夏の午後、石渡の妻・美枝子が島を訪れる。やがて、祭りの熱気に酔うかのように、石渡夫妻をとりまく島民の事情が浮かび上がってくる。
港近くの「夏巳食堂」の主人は一年前に溜池に落ちて死亡したが、遺された夏巳の妻・涼子は店を閉めずに営業を続けている。
役場職員の冨永には、涼子と交際しているという噂があった。
冨永の同僚・芳井は代々お人魚堂を管理する「人魚守」の家の孫娘である。
石渡と交流のある高校生・谷村陽には、行方不明の兄がいた。
小さな島、小さな夏のお話。
鹿児島県伊佐市を拠点に活動する演劇集団非常口の、初の東京公演。人口2万5千人の小さな町で、社会人劇団として17年間活動してきた集大成となりそうだ。作・演出の島田佳代と、出演の友枝憲一、石神朋子、西元麻子、中岡美由喜、平愛、西和博に、伊佐という土地や劇団のこと、本作などについて訊いた。
ーみなさんが住む「伊佐」はどのような場所でしょうか?
西 本当に南国鹿児島なのか! とも言われるほど冬は寒くなる街です。反対に夏は鹿児島県内でも最高気温を記録するほど暑い街です。電車も通ってないし、バスも一日に数本。自家用車を持ってなければどこにも行けないような、ホント「田舎」を絵にかいたような街です。
中岡 緑に囲まれた長閑な田園風景が楽しめます。どこからともなく時報が聴こえます。桃太郎に出てくる犬、キジ、猿ががんばれば集められます。
ー伊佐のよさってどんなところですか?
石神 市歌にも出てくる、「山となりづる、うまし米、泉とかもす、うまし酒」。いつの時代も食べるにも飲むにも困らず、住む人の心もよき桃源郷とまで言われた土地です。伊佐人は薩摩の気質溢れるぼっけもん(※1)多し。伊佐はとってもい~さ!。
西元 写真が趣味でよく伊佐の風景を撮っているのですが、その写真がチケット(※2)になってます! 伊佐には都会にはない景色がたくさんあります。私は伊佐の広い空が大好きです。チケットの写真で伊佐の良さと、私の伊佐を愛する気持ちが少しでも伝わってくれるといいなと思います。
(※1)ぼっけもん 「勇猛果敢」「豪放磊落」「向こう見ず」といった大胆で乱暴者という意味で使われることが多い。鹿児島県人、薩摩隼人の気質を一言で表した鹿児島の方言。 (※2)写真がチケット |
ーみなさんにとって、演劇集団非常口とはどういう場所ですか?
西元 「私ここにいますけど」という存在証明の場です。
友枝 認知症予防に最適、かつ人間を取り戻す場所、孤島に咲いた一輪の華です。
平 みんな優しくて癒されます。楽しいです!
中岡 ストレス発散の場所です。華やかではないけど、味わい深い劇団です。たぶん昭和の香りがします。
西 高校生役ができる役者から、定年退職した役者までおり、すべての年代を演じることができる劇団です。
島田 夢中になれる場所。作品を創っていくのは、小学生の頃に秘密基地を作ったり、ごっこ遊びをしてた感覚に近いです。そういう意味で、遊び場でもあります。地味で素朴で温かい劇団です。
ー今回上演する『鱗の宿』見どころを教えてください。
西元 土地の匂い!
中岡 この劇の為に作られた鱗島音頭は聞いて欲しいです。なんと地元のおじさんが歌って下さいました。
平 主役の石渡を演じる友枝さんのアドリブと、物語に引き込まれる照明が好きです。
石神 派手なパフォーマンスはありませんが、動作や台詞一つで、登場人物の生きざまや考え方、心の襞が、にじみ出てまいります。観客の皆さまと共鳴できれば幸いです。
ー最後にmola!をチェックしている方々にメッセージをお願いします!
中岡 噛めば噛むほど味が出るスルメ系劇団です、宜しくお願いします!
平 いろいろな意味でドキドキですが精一杯がんばります!
西元 観てよかったと思っていただける作品になるように、絶賛稽古中です! 鹿児島に縁がある方もない方も、ぜひ伊佐を感じに来てください。お待ちしてます!
石神 千里の道を野を越え山を越え、東京公演に参上つかまつります。どうぞ、多くの皆さまとお会いしとうございます! どうか宜しくお願いいたします!
西 初めての九州を飛び出す公演。しかも東京での公演という事で、緊張しつつもワクワク感がとまらない状態です。鹿児島言葉をふんだんに使っていますが、大河ドラマの「西郷どん」のような難解な鹿児島言葉は出てきませんので、構えずに観劇してください。
島田 公演初日まで1か月をきりました。稽古しながら、初演とはまた違った印象を受けています。舞台で展開される鱗島の暮らしは表面上穏やかにみえますが、再演にあたり、人物の想いにより深く突っ込んで稽古しています。具体的には、せりふ以外の言葉にならない部分をより丁寧に探っています。それぞれが孤独に寄り添いながらその日を生きる、どこにでもある日常の物語です。そして、その日常こそが、かけがえのないものだと思いながら創っています。ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。
出演は、友枝憲一、石神朋子、西元麻子、中岡美由喜、平愛、西和博。
チケットは、東京公演が一般2,000円(当日2,500円)、U23 1,500円(当日2,000円)、ペアチケット3,500円(2名分)。鹿児島公演が一般1,500円(当日2,000円)、U23 1,000円(当日1,500円)。CoRichチケット!での取り扱い。
お問い合わせは演劇集団非常口hijoguchi.ngr@gmail.com、090-9566-4231(ニシ)まで。
演劇集団非常口 第19回公演『鱗の宿』
作・演出:島田佳代
【東京公演】
日時:2018年11月15日(木)19:00★
16日(金)19:00☆
17日(土)14:00/19:00
18日(日)11:00
★☆アフタートーク実施
★嶋田直哉(シアターアーツ編集長)☆松田正隆(マレビトの会)
会場:こまばアゴラ劇場(目黒区駒場1-11-13)
料金:一般2,000円(当日2,500円)
U23 1,500円(当日2,000円)
ペアチケット3,500円(2名分)
【鹿児島公演】
日時:2018年11月23日(金)19:00
24日(土)14:00
会場:伊佐市文化会館(伊佐市大口鳥巣305)
料金:一般1,500円(当日2,000円)
U23 1,000円(当日1,500円)
【関連サイト】
演劇集団非常口 第19回公演『鱗の宿』特設サイト
演劇集団非常口(Facebook)
演劇集団非常口(Twitter)
【関連記事】
演劇集団非常口、17年目にして初の東京公演
※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。