ガルシア・ロルカの悲劇『イェルマ』をGIGAが上演
ガルシア・ロルカ悲劇三部作 第二章『イェルマ』(脚本:ガルシア・ロルカ、演出:山田恵理香)が5月31日(金)~6月1日(土)、福岡市早良区百道のももちパレス大ホールで上演される。
この物語は夫婦のおはなし。
イェルマという名前の若い妻。
夫のフワンは羊飼い。
牝羊は柵の中に、女は家の中に。
「君には家にいてほしいんだ」
そういう夫は、今日も外で羊と眠る。
彼女は子供が欲しかった。
子供を持つってことは
バラ一輪を手にするのとは訳がちがう。
たとえあなたが
わたしの眼の一番柔らかいところへ
針を突き刺せと言っても
わたしは何だってやる。
子供を生むためなら。
切に願うイェルマが向かったのは…。
空間再生事業 劇団GIGA(福岡)と福岡県立ももち文化センターが共同で取り組む「ガルシア・ロルカ悲劇三部作上演プロジェクト」の第2弾は、「セックスレス・少子化・不寛容な抑圧された社会」など、現代社会にも通じるモチーフを扱う『イェルマ』。本作を滑稽な歌と踊りで立ち上げるという。演出を担当する山田恵理香に、作品について聞いた。
ースペインの詩人、劇作家であるガルシア・ロルカの戯曲を上演しようと思った理由を教えてください。
内戦時代のスペインは、現代の不寛容さが強まっている社会と似てると思います。ガルシア・ロルカは男性ですがジェンダーフリーな作風が魅力で、悲劇三部作とくくられる作品は特に女性の姿を鮮明に描き出しています。女性の強さや激しさが九州の女性と似ているのも、ロルカに惹かれる理由のひとつです。物事に直接的に触れることは、時に息苦しさを感じます。今を生きる術を過去から学ぶことも多く、ロルカの描く作品には私たちに新たな風を通してくれる力があると思い、上演することにしました。
『血の婚礼』『イェルマ』『ベルナルア・アルバの家』は、ロルカの作品の三大悲劇としてくくられています。全てを上演することで、ひとつの大きな時間を含んだ作品を観客に渡せると思っています。また、スペインでは三幕や三つの流れを組む風習があります。スペインで有名な闘牛も、三幕の流れになっているそうです。
ー第三章の構想があれば教えてください。
最終作品の『血の婚礼』は、闘牛でいうと第三幕のマタドール登場ですね。もともとこの作品が上演したくて始めた三部作だったので楽しみです。ももちパレス館長の糸山裕子さんとは、野外上演にしたいと話しています。緑のエロスと海の脅威を詩としたロルカ作品の魅力を存分に発揮できると思います。
ーmola!をチェックしている方へメッセージをお願いいたします。
いま稽古してるんですが、イェルマ役の宗真樹子さんの演技がとってもキュートでイカれてます。少女漫画的な、妄想力たくましい新しいイェルマ像を立ち上げました。九州でガルシア・ロルカの作品を観劇できる数少ない機会です。今回、初タッグの彫刻家で舞台美術を担当する津田三朗さんは、往年の怪優、天野英世さんがロルカの詩を朗読するツアーについて回ったという因縁。偉大な詩人ロルカの言葉を歌い、魔術的に踊ります。前回の狭い会場から一転して、広大な客席で見てもらう演出にしておりますのでそこもお楽しみに!
出演は、五味伸之、八尋香菜、宗真樹子(劇団きらら)、中村とし子、松尾佳美、田島宏人(演劇ユニットそめごころ)、ケニー(非・売れ線系ビーナス)、峰尾かおり、真吉、藤城道博、猛者真澄、Hotaka。
チケットは一般前売3,000円(当日3,500円)、学生1,000円(当日1,500円)、2名ペアであれば誰でも利用可能な夫婦割5,000円(当日5,500円)。福岡県立ももち文化センター092-851-4511、予約フォーム、ローソンチケット(Lコード:82253)での取り扱い。
お問い合わせは福岡県立ももち文化センター092-851-4511まで。
ガルシア・ロルカ悲劇三部作 第二章『イェルマ』
脚本:ガルシア・ロルカ
演出:山田恵理香
日時:2019年5月31日(金)19:30
6月1日(土)15:30
会場:ももちパレス大ホール(福岡市早良区百道2-3-15)
料金:一般前売3,000円(当日3,500円)
学生1,000円(当日1,500円)
夫婦割5,000円(当日5,500円)
【関連サイト】
『イェルマ』特設サイト
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