美術×演劇コラボの『モネ、逆さまの睡蓮』、1年の延期を経て上演
ゲキシビジョンvol.2『モネ、逆さまの睡蓮』(作・演出:泊篤志)が5月1日(土)~4日(火・祝)、北九州市戸畑区鞘ヶ谷町の北九州市立美術館本館 アネックス棟レクチャールームで上演される。
世界中で知られる印象派の画家クロード・モネ。
北九州市立美術館はモネの代表作「睡蓮」を所蔵しています。
ところが、かつて上下逆さまに展示されていたという噂が……。
それは果たして本当のことなのか、根も葉もない噂なのか。
そもそも、モネはなぜ人気なのか?名前だけで人が集まっているのではないか?
2013年~2017年に「美術×演劇」というコンセプトで北九州市立美術館と北九州芸術劇場が共同製作したシリーズ第4弾『モネ、逆さまの睡蓮』が、ゲキシビジョンシリーズとして5年ぶりに再演される。本作は、新型コロナウイルス感染症の影響により1年の延期となり、このたびの上演となった。モネの代表作「睡蓮」にまつわる噂話をきっかけに、なぜ人々がモネに惹かれるのか、アートとは? 良い絵とは? を問う内容となっている。本作について、作・演出の泊篤志に聞いた。
―北九州市立美術館が所有する美術品をモチーフに演劇作品を創作するというユニークな試みですが、モネの《睡蓮》を選んだのはどうしてですか?
元々この企画は北九州芸術劇場と北九州市立美術館のコラボレーション企画として2013年から5年間、毎年テーマとなるアート作品を決め演劇を作ってたんですね。で、モネの《睡蓮》は4年目、第4弾となる作品なんです。1年目のエドガー・ドガ、2年目のバスキア、3年目の北斎はどちらかと言えば自分発信というか「次はこれをテーマにやりたい」と提案して作っていったんですけど、4年目は「美術館として次は何がいいと思いますか?」と美術館側に提案してもらって、モネ《睡蓮》になった、という経緯はあります。
―モネの《睡蓮》を提案されて、どう思いました?
「おおモネか! 睡蓮か! 直球が来たな!」と思いましたね。1年目に同じく印象派の画家のドガをやってましたから、印象派とは何ぞや?というアプローチはもうできないし……、モネの生涯を追ってもなぁ……みたいな、どの角度から作品を作っていいのか、正直最初はイメージができなかったんですよね。
―本作のテーマ「いい絵とは何なのか?」にはどうやって辿り着いたんでしょうか?
担当となった美術館の学芸員さんと喧々諤々……というと喧嘩したみたいですけど、まあ喧嘩はしてないんですけど、かなり密なやり取りがあって、で、それまでの3作も作りながら常に「いい絵とは何なのか?」というサブテーマみたいなのが脇にあって、これ、アート界の永遠のテーマみたいなところがあって、この永遠のテーマに、「いい絵とは何なのか?」という大命題に正面から向き合ってみよう! と。
―これまでの3作の蓄積があってこそのテーマだったと。
そうです。自分も3度アート作品、画家の内面に向き合ってきて、やっと分かってきたこともありましたから。そんな中、例えばバスキアをZOZOの社長が20億で買ったんだとか聞くと、その価値って何なの? って思ったりして。その何億何十億って画家の手元には入ってないですからね。描き手の思いと、作品本来の良さと、市場の計算とが乖離してるなっていうことにずっとモヤモヤしていて、そこをモネの《睡蓮》でやれないかと、4作目でようやくそこに至りました。
―今回は「ゲキシビジョン」という美術館の単独企画での再演ですが、初演との違いなどありますか?
演劇作品としてはそんな大きくは違わないと思います。ただキャストが5名中2名が変わっているので、初演と印象は随分変わって見えるのかも知れませんね。で、一番の違いは「会場」ですね。旧シリーズは美術館の分館でリバーウォークの中でやっていたものが、今シリーズは美術館「本館」ですからね。やっぱ総本山に来たぞという緊張感や高揚感はありますよ。分館での開催はその絵画1点を本館から持ってきて、1点のみの展示だったんですけど、今回はモネ以外にも、例えばかつて演劇作品で扱ってきたドガとかそうそうたる名画がずらっと並んでますから、豪華さがもうぜんぜん違いますよ。
―見どころとしては?
「いい絵とは何なのか?」という問いについて、登場人物たちと一緒に考えを巡らすことによって、これまで「難しい」と思っていたアートの事が少し分かった気になれるんじゃないかと思います。そして演劇のあとに実際に絵を見てもらうんですが、これまで漠然と絵を見ていた時ともうぜんぜん「絵を見ている自分の内面が変わっている」ことに気が付くんじゃないかと思います。他では得られない観劇&鑑賞の機会になること間違いなし!です。
―断言しましたね。
多少、煽りもありますけど(笑)。でも、このシリーズはどの作品でもそういった感想を多数いただいているので期待していただければと思います。
出演は古賀今日子(yum yum cheese!)、森川松洋(バカボンド座)、脇内圭介(飛ぶ劇場)、宮村耳々、セクシーなかむら。
チケットは500円(コレクション展観覧料含む)。予約フォームでの取り扱い。
お問合せはkitaya505 080-1710-2887まで。
ゲキシビジョンvol.2『モネ、逆さまの睡蓮』
作・演出:泊篤志
日時:2021年5月1日(土)12:00/15:00
2日(日)12:00/15:00
3日(月・祝)12:00/15:00
4日(火・祝)12:00/15:00
会場:北九州市立美術館本館 アネックス棟レクチャールーム(北九州市戸畑区西鞘ヶ谷町21-1)
料金:500円(コレクション展観覧料含む)
【関連サイト】
北九州市立美術館『モネ、逆さまの睡蓮』公演詳細ページ
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