ビーネ!中川裕可里ロングインタビュー(前編)
ビーネ!(北九州)が『猫背』(作:中川裕可里)を3月25日(土)~26日(日)、北九州市小倉北区大門のengel-cafe and musikで上演する。
飛ぶ劇場(北九州)に俳優として所属する中川裕可里。今年度は飛ぶ劇場の『睡稿、銀河鉄道の夜』ツアー、北九州芸術劇場の『風、騒グ。』やモノレール公演『はなれても、燈』、枝光本町商店街アイアンシアターが劇場周辺地域の人や歴史を描いた『このまち』など、地域の核となる公演に立て続けに出演。そんな中川に、自身が主宰のユニット「ビーネ!」や今作『猫背』のこと、演劇観や人生観に迫るインタビューを行った。
私、最近お酒で頭痛くならなくなったんですよー。
―お酒好きなんですか?
いえ、特に。笑うんです。だいたいお酒飲むと。ははは。
前作『あるところに、ぶなしめじ~』のこと
―じゃあ早速インタビューを始めますね。「ビーネ!」のブログに、藤松妙子(※1)の『猫背』インタビューが掲載されてたんですけど、mola!でインタビュー記事が被っても大丈夫ですか?
全然大丈夫です。どうせあのブログ、誰も見てませんし。あははは。
―そうだ、あのブログのトップ『あるところに、ぶなしめじくん』(※2)になったままでしたよ。
え???
―前回の公演の告知が固定されたまんまじゃないかと。
……うそ。
―さっき確認したので。
ごめんなさい!! 携帯から更新してるから気付かなかった。すぐに直します。へへへ。
―いえいえ。
でも、どうせ誰もみてませんから。ははは。
―……折角なんで前回公演のことなどを少し。
はい。仕事で学校の図書館司書みたいなことをやってて。
―中学? 高校?
中学です。学校の図書館に詰めてて。いろんな生徒が来るんですよ。『ぶなしめじ』はその時の話なんですけど、比較的新しい学校で、校舎の中央に図書館が配置されてたんです。昼休みとか放課後はもちろんだけど、授業には出ないけど図書館には来る子とかもいたりして。授業中でもふらりと、図書館にいろんな子が来て。その子たちが面白くって。勤務一日目に「これをお芝居にしたい!」って思って。
―図書館にいつでも出入りできるんですか?
そうそう、そんな感じです。いろんな子が来ました。
―タイトルにある『ぶなしめじくん』っていうのは?
役名が原武ぶなしめじ。保健室に引きこもっている子なんですけど、5、6時間目に登校して自主学習で図書館に来てた子がモデルになってます。まじめな子も、ヤンキーも、なにかを抱えてそうな子とか、いろんな子が図書館に来るんです。自分がこのくらいの時はどんなだったかな? とかいろいろ振り返ったり。そこでの経験が面白くて、芝居に出来たらいいなーって。ダダダーって勢いで脚本書いて。書いてるときは楽しかったんですけどねぇ……。
―けど?
稽古がはじまったらちょっと……演出が大変で。自分の言葉がみんなに伝わらなくって、自分でどうしていいかわかんない、みたいな。それで、もう出来ない! やるものか! みたいになりまして。でも、『ぶなしめじくん』やってる最中に今回の『猫背』ってタイトルだけ降りてきたんですよ。やりたくないけどタイトルだけ。ははは。
幽体離脱したこともある子ども供時代
―中川さんの子ども時代を聞かせてください。どんな感じの子でしたか?
……内弁慶。泣き虫。ぼーっとしてる。……卑怯。今もそうですね。へへへ。
―内向的だったんですか?
写真やビデオを撮るときは、走って近付いていって必ず変顔するんだけど、学校ではそんなこと絶対しないとか。人見知り。あ、幽体離脱したことがあるんですよ。誰も信じてくれなかったんですけど。
―どんな感じなんですか? 幽体離脱って。
スッ(スッとした仕草をする)。
―え?
スッと。スッて感じです(スッとした仕草をする)。
―何歳のときですか?
4歳です。スッて(スッとした仕草をする)。信じてないでしょ?
―信じてないわけじゃないですよ。4歳で幽体離脱経験……。小~中学時代は?
漫画にハマッてました。少年マンガに。
―ほう。
ジャンプとかよく読んでたんですけど、7歳離れた妹に、マンガの読み聞かせをしてました。
―ジャンプの読み聞かせ?
そう! 最初は妹が小さいから絵本の読み聞かせをしてたんですけど、私がマンガばかり読むから妹もマンガに興味持ち始めて。気付いたらマンガの読み聞かせになってて。登場人物になりきって声色変えて演じ分けるみたいなのを。
―へー。
そういったマンガの読み聞かせみたいなのが高じてかな、声を使うことに興味があって。当時はナレーションみたいなのをやりたい! って思ってました。高校進学して剣道とか弓道にも興味があったんですけど、放課後残ってやるぞ! みたいなのがどうも……んーじゃあいいかみたいな。
―演劇部ではなかったんですか?
演劇部でした! 友達に誘われて。結構がんばってましたね。けど、ずーっと演劇を続けようとは全然思ってなかったですね。
―大学は?
親が大学くらいは行っとけみたいな感じで。とりあえずどこでもいいので行きなさいって。なので部活の顧問の先生が勧めてくれた大谷(※3)に進学しました。でも、母の大反対にあいまして。
―どこでもいいって言われたのに?(笑)
そうそうそう。どこでもいいって言ったやん!! って食い下がり、なんでこんな子が生まれたんだって半泣きされ。結局、大学行かせてもらったんですけどね。まぁ大学で演劇を続けて、でも演劇を続けようと特に思っていなかったけどなぜかこんなことに。今日に至る……って感じです。あはははは。
『猫背』と狂言
―では、いよいよ本題の『猫背』なんですけど。
はいはい。なんでも!
―チラシに「後見(※4)、中島清幸(能楽師大蔵流狂言方)」というクレジットがはいっているんですが、今回は狂言を上演するんでしょうか?
んー、狂言の要素を取り入れた内容です。
―『猫背』という狂言演目ではない?
ははは。そんな演目ありません。狂言は大谷で習ってて。でも何故、狂言を取り入れたかったかは自分でもよくわかんないいんですけど。バスに乗ってたら「狂言だ!」ってババーンって思いついて。それですぐに今回の後見をお願いした中島先生に電話して。そしたら、いいんじゃないってすんなりOKで。今考えたらなんで『猫背』で狂言なんだろうって思ってます。ははは。
―思いつき?
思いつきですね。あはは。大体なんでもそうです。学校卒業したあとも、狂言は続けてて、卒業したあとに習っていたのが中島先生。大学では日舞や狂言を習ったんですけど、日舞の先生はいつも怒っている方であんまり怒るんで冷めたというか。狂言の先生は面白い方で。卒業してから、何かしなきゃって思ったときに狂言楽しかったなぁって。
―思いつきも思い出って大事ですね。
ですです。
―タイトルが先に浮かんだ『猫背』、内容はどんな感じですか?
んーーーばかばかしい話かな?
―と、いいますと?
最初は暗い話をしようかと思ってたんですけど、そうじゃない感じかな。これ、言っていいかなぁ……。
―ダメなら最終的にカットしますよ。
あ、じゃあ。『猫背』ってのが私が小さいころ(と、頼んでいた料理が来る)……あ、そうだ! 白頭山(※5)の100円ビール(※6)ってmola!で扱ったことありますか?
―いや、ないと思いますけど。
100円ビールの注ぎかたを公開しませんか?
―え、ああ、まあ別にいいですけど。
ははは。じゃあやりましょう!(ビールを注ぎに行く)
100円を投入!
ボタンをポチッと
自動で注がれて……
出来上がり!
いえーい。では改めてかんぱーい。
<後編に続く>
構成・執筆:北村功治(kitaya505)
(※1)藤松妙子
北九州のユニット「じあまり。」のメンバー。今回の公演に制作で参加している。
(※2)『あるところに、ぶなしめじくん』
ビーネ!の第一回公演。
(※3)大谷
福岡県筑後市にある九州大谷短期大学。演劇を学べる表現学科演劇放送フィールドがある。
(※4)後見
能、狂言、歌舞伎、舞踊などで、演技者の助けをする役。
(※5)白頭山
小倉駅前にある演劇人ご用達の激安24時間営業居酒屋。
(※6)100円ビール
白頭山に設置してある自動ビール注ぎ機。100円を入れて、客が自らが注ぐ。一昔前は客自らがサーバーで注ぐようになっていた。
出演は、中川裕可里。後見に、中島清幸(能楽師大蔵流狂言方)。
チケットはカンパ制(要ワンドリンクオーダー)。
予約・お問い合わせはビーネ!beneinfo.2015@gmail.comまで。
ビーネ!『猫背』
作:中川裕可里
日時:2017年3月25日(土)18:00
26日(日)14:00/18:00
会場:engel-cafe and musik(北九州市小倉北区大門2-7-5)
料金:カンパ制(要ワンドリンクオーダー)
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