まっほーのシビウ日記(中編)ーフェスティバル前ー

2017.07.24

5月25日(木)

5月25日(木) 5月25日(木)

1カ国目、ポーランドのワルシャワ。

TEATR CAPITALという劇場でやっている「ジョルジュハワイへ行く」という芝居を見に来た。
今はその休憩中。入り口とホールの間にバーがあって、みんなその周辺で休憩してる。

今日は一日ワルシャワの中心部を歩いてみた。
びっくりするくらい、あちこちに劇場がある。音楽や演劇が根付いてる感じがする。
この芝居も木曜の夜なのに、300席がほぼ埋まってる。客層も幅広い。おめかしした奥様方、働き始めたばかりくらいの若い人、サラリーマン風の人、白髪のおじいちゃん。

そろそろ休憩が終わるので、また明日!

5月26日(金)

早くも日本が恋しい。昨日芝居をみてたら急に恋しくなってきた。

英語字幕は出てたけど、そこまですべてわかるわけではないし。お店などでもポーランドが話せないので、お手上げって顔をされるから。
言葉の不自由さ。
大体はなんとかなるのだけど、ストレスが少しずつ積み重なる。

外務省から注意喚起のメールが頻繁に届く。劇場などに行くときは、人が混雑するタイミングを避けて会場に出入りしてくださいとのこと。

5月27日(土)

アウシュビッツにいってきた。

5月27日(土) 5月27日(土)

人種差別はだめ、という平たい話ではなくて、虐殺をおこなった政権を支持してきたのは国民だということ。なぜユダヤに対する風当たりが増していったのか。差別意識のもととなることは自分たちの心の中にきっとある。同類の悲劇を繰り返さないために私たちはどういう選択をしていくのか。

そんな問いかけをガイドの方がひたすらしてくださった。できれば自分とは関係ないと思いたい、世界の遠くで起きている悲惨な出来事もやっぱり私の今いる世界と地続きなのだ。改めてそう思った。

楽しい場所ではないけれど、ここに来て本当に良かった。

5月28日(日)

3日間、見たいものをみて、行きたいところに行くために歩きまくり、移動しまくり疲れた。
とっても楽しいけれど、やっぱり言葉やシステムがわからないところで何かするのは、ストレスを感じる。

今日はワルシャワから、アテネへ移動。ついたらゆっくり休もう。

5月29日(月)

昨日一日休んだら随分と体が楽になった。

今日はアテネの遺跡を巡った。
とにかく石がでかい。クレーン車もない時代にどうしてできたのか、高く高く石が積まれすぎ。でも積めると想像して信じてやった人がいたはずなんだ。

ゼウス神殿の麓にあるディオニソス劇場にも行った。劇場といまだに呼ばれているけれどもうその役目は完全に終えた感じがあって、「劇場跡」と呼んだほうが正しい気がした。

5月30日(火)

ともにボランティアプログラムに参加するメンバーの一人と合流。アテネで開催中のドクメンタ14をみにいく。誰かと一緒に見て感想を言えるのが嬉しい。

そして午後、シビウでの担当表が送られてきた!
4つのカンパニーにつく予定。緊張して、不安になってきた。頑張ろうー。

5月31日(水)

続々と、他のボランティアスタッフの出国連絡が入る。私もいよいよ明日にシビウに向かう。

受入側からも慌ただしく連絡がくる。向こうは戦場、といった空気が伝わってくる。

6月1日(木)

ルーマニア、ブカレストで他のボランティアメンバーと合流。長旅の末、シビウにも無事に到着。

仲間がいる安心感がすごい。

ここまで不安になることが多かったけどみんなと会って楽しみな気持ちがずっと強くなった。

6月2日(金)

劇場ツアーの後、ラドスタンカ劇場製作のファウストを観劇させてもらった。

噂通りすごかった。

この作品に出会うのために、芝居を追いかけてきたのではないかというほどの作品。
性別や人間、動物などの種別を超えて生命体が存在している。荒々しくそして素晴らしかった。この作品は、劇場がそしてシビウ市民が誇るものだと感じた。

6月3日(土)

フェスティバルでスタッフとして働くために、5時間にわたるレクチャーを受ける。

ルーマニア入りしてまだ3日だが、数日後にはカンパニーがきて、今度は私達がガイド役を務める。
いつもの通り、緊張するし、できるの?という不安はもちろんある。けどボランティアを受け入れるためのフェスティバル側のサポートもありがたく、安心して頑張ろうと思えている。

街を知ること、そして美味しいレストランを知ることもカンパニーアテンドするのに大事よ、と言われたので、おなかいっぱいになるまで食べた。

6月3日(土) 6月3日(土)

6月4日(日)

6月4日(日)

一日休みだったので留学していたCluj Napocaという街を訪問。バスで3時間半の大移動、のはずが早速のる予定のバスが運休になっている。

あぁ、そうだった。
Asta este Romania(これがルーマニア)

なんとか目的地に辿りついて、旧友たちに会う。またこの街に帰ってこれてとても嬉しい。芝居への思いでこの地に留学を決めて、また再びこの街とシビウにこれた。その間にたくさんの人と出会って今ここにいる。

芝居が好きで良かった。ありがとう。

6月5日(月)

会場の一つである教会の訪問、カンパニーアテンドグループのミーティング、シビウの歴史探索ツアーと朝から目白押しの一日だった。

シビウの街には15世紀以降の要塞や建物が多く残り、その一つ一つに建てられた意味がある。

他からの侵略を防ぐために建てられた塔が、今はコンサートなどが行われる交流の場になっていることなど、ヨーロッパの地続きの歴史を物語っていてとても面白かった。

6月6日(火)

外国語で過ごすということは当然だけど、結構なストレスみたい。
疲れるとひよるし、言葉もでてこなくなる。他人のちょっとした言動に妙にイライラしてみたり。

今日は、ルーマニアのカンパニーアテンドのミーティングに参加した。一緒にアテンドする現地の子が欠席したので、必死に聞き取る。
終わった後に同席した他のメンバーに内容を英語で確認。自分が言っていることが間違えているかもしれない、という前提だと人に尋ねるのもちょっと怖かったりもした。

6月7日(水)

今日はプレスカンファレンスと、キリアック氏との面会。とてもパッショナティブなキリアック氏。
カンファレンスでも、私たちボランティアスタッフに話すときも常に力強く語ってくれた。

フェスティバルを通じて、いろんな人とコミュニケーションをとろう。それはフェスティバルのためだけでなく、みんなで未来を作ることなんだ。と。

劇場のフェスティバルのメンバーは、こんな忙しさの中でも常に心を失わない。バタバタと急くことなく、フェスティバルを楽しんでいるのが伝わってくる。

それってすごいことだと思う。

私達にもシビウとフェスティバルを楽しんで、たくさん笑って、そして恋に落ちてね。という言葉をもらった(今年のテーマは、More Love!)

毎日いろんな話が聞けてすごく面白いのだけど、疲れが溜まって少しパワーダウン。みんなから心配されるので、相当ひどい顔をしてるのだろう。そんなにナーバスにならなくても大丈夫よ、と一昨年から参加している先輩日本人ボランティアに言われる。ナーバスになってるつもりはなかったのだけど、言われてみたらなってるかも。

6月8日(木)

明日からフェスティバルスタート!わくわくするー。

この演劇祭は、本当に多くの現地ルーマニアのボランティアスタッフが参加している。この演劇祭のボランティアと活動するにも、試験を受ける必要があるらしい。試験をパスし集まったボランティアの数なんと600人。

中でも高校生がすごく多い。
一緒に働いていて、16-17歳とは思えないほどしっかりしている。ボランティアって、自発的という意味だったなと思い出す。私は自発的に、能動的に活動できてるかしら?

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