10周年記念公演を控えるブルーエゴナクに、下鴨車窓・田辺剛が3つの質問

2022.09.29

ブルーエゴナク(北九州)が10周年記念公演『バスはどこにも行かないで』(作・演出:穴迫信一、音楽:有馬和樹)を10月7日(金)~9日(日)、北九州市小倉北区室町の北九州芸術劇場 小劇場で上演する。

ブルーエゴナク 10周年記念公演『バスはどこにも行かないで』

地方都市。妹とその兄は小さな街で行方不明になる。お互いの存在の中のみで。
2人は同じ街で生活を続けている。どこにも行けないままどこかへ消えた家族を思ったり忘れたりしながら。
ある時、兄は思い出す。2人がすれ違う過去と、そのバスの行き先を。

北九州を拠点に活動を続けるブルーエゴナクが、劇団10周年を記念した公演を行う。同時期に北九州と長崎で公演を控える下鴨車窓(京都)の代表・田辺剛が、本作に関する3つの質問を投げかけた。

ー電車や船や飛行機ではなく「バス」になったのにはどんな理由がありますか?

北九州の街をモチーフにしようと決めた時、作品イメージの要素として最初に浮かんだのがバスでした。福岡県はバス文化で僕自身も移動によく使います。例えば怪談などでは都市の怪談と田舎の怪談がありますが、バスはその二つを地続きにしている感覚があります。つまり、ある意味で都市と田舎を繋ぐ、地方都市を象徴する存在なのかなあと思います。死生を取り扱う作品において乗り物で描くことはありがちだけど、その中でももっとも土着的な、庶民的な、路線バスで、しかも小倉の酔っぱらいのおじさんとかが乗って来るような混沌と喧噪の中で描くことができたら、もしかしたら新しさも生まれるかもしれないと考えました。小倉版、銀河鉄道の夜みたいになればいいなと。

ー大都市(東京)ではないことに特別な思い入れはありますか? この作品の舞台もそうですし、穴迫さん自身も北九州(大きな都市ではありますが)を拠点にされているということから、なにか思いがおありかなと。

思い入れとは少し違うかもしれませんが、地方都市というのはある意味で大都市の未来形だと思っています。北九州は著しい人口減少もあり都市として衰退していると言っていいと思うのですが、それはこれから日本のあらゆる都市で起こることだと考えます。
この街特有のものとして描いたことが、ある種の未来予知になっていくと考えると興味が湧きます。また、例えば東京などの都市の状況を羨ましく思う一方で、僕たちの表現がある意味で東京の現代演劇の文脈に沿わない(沿えない)部分があることによって、独自の活動や手法を押し出せているのかなとも思います。それがどれくらい北九州という土地に影響を受けているものか今はあまり分かりませんが。

ー10周年おめでとうございます。次の10年について何か思い描いていることはありますか?

ありがとうございます! 次の10年について具体的な想像は出来ていないのですが、なんとなく3つ思いつくことがあります。一つは、僕自身が今、誰かと作ることがとても楽しいので、さらにコラボレーションの形や仕方や範囲を考えながら色んな方と協同していきたいということです。例えば民間劇場のTHEATRE E9 KYOTOのアソシエイトアーティスト公演が今年度より始まります。サポート内容も有り難いのですが、どちらかというと、劇場側の立場としてここにどんな作品を自分なら残せるかを考えることに価値を感じています。また、敬愛する音楽家や俳優、振付家との協同の有意義さの一方で、現代演劇の土壌のない岩手県宮古市にて、現地の高校生の皆さんと一緒に作ることもとても刺激的です。
もう一つは、翻って劇団での創作にもすごく興味があります。集団という概念や定義が捉え直されている昨今、劇団という集団がなんなのかをもっと突き詰めたいと考えています。2019年の劇団員募集から3年経ち、ブルーエゴナクの世界観を立ち上げるのにとても頼もしい面々になりつつあります。引き続きブルーエゴナクの集団性というものを解明して、舞台上にて発揮させたいと思っています。
三つ目は、全国から観に来てもらえるような団体になりたいと思っています。SCOTやSPACや青年団のように、北九州にブルーエゴナクを見に行くことが日本の文化芸術における一つの行事になってほしいなと。途方も無いような夢ですが、活動を続ける限りは信じていたいと思っています!

出演は悠太、小関鈴音、なかむらさち、溝口竜野、高山実花、青木裕基、溝越そら、日髙啓介。

チケットは、一般3,000円(当日3,500円)、U24 2,500円(当日3,000円)、高校生以下1,000円。チケットぴあ(Pコード:513441)、CoRichチケット!北九州芸術劇場オンラインチケットほかでの取り扱い。

お問い合わせはブルーエゴナク制作部egonaku@gmail.com、090-6299-5590まで。


ブルーエゴナク 10周年記念公演『バスはどこにも行かないで』

作・演出:穴迫信一
日時:2022年10月7日(金)19:00
         8日(土)14:00/19:00
         9日(日)14:00
会場:北九州芸術劇場 小劇場(北九州市小倉北区室町1丁目1-1-11)
料金:一般3,000円(当日3,500円)
   U24 2,500円(当日3,000円)
   高校生以下1,000円

【関連サイト】
ブルーエゴナク10周年記念公演『バスはどこにも行かないで』
ブルーエゴナク
ブルーエゴナク(Twitter)

※内容は変わる場合がございます。正式な情報は公式サイトでご確認ください。

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