さよならオブラージャ(第2回)

2021.02.26

 <何か食べたいものある?
作ってくれるん?>
 <作らんよ
 <動画の参考にする

ヒーターの上で、右手の中指が更に熱を帯びていた。

カン……

カン……

カン……

暗い部屋に、ヒーターを小突く音が染み渡る。炬燵布団の中は春のように温かい。さっきまでふたりでいた温もりを思い出している。
日が昇ったら親父と加湿器を買いに行くんだったな。少し横になろう。と、既に俺は微睡みの淵に居た。春香は人参の飾り切りの説明を続けている。

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