さよならオブラージャ(最終回)
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朝から母をお風呂に入れ、その後自分も湯船にじっくり浸かる。
今朝、初夢をみた。夫がスペースシャトルに乗っていた。なぜか私もその隣にいて、地球を見下ろしていた。
夫が永年思い続けた宇宙の旅。誇らしげな彼の表情に、私も嬉しくなる。眼下に、住んでいる町も、母がいる故郷も、ヤスコと2泊3日で旅行した隣の国も、全部いっぺんに見渡せる。
毎日毎日、シャトル事故のニュースを見ているから、こんな夢をみてしまったんだ。
夢の中の夫がユウキではなかったことに、私はホッとした気分だった。
この年末年始の出来事は、接触事故のようなものだ。それも自損事故。
ただ、相手は限りなく柔らかかった。ぶつかったけれど、フカフカのクッションに向かって突進したようなものだった。ぶつかった手応えすらなかった。細かな擦り傷はいくつも出来たかもしれない。でも見た目じゃ他人には全然わからない。
今年の初夢には、富士山も勇ましい鳥もなすびも出てこなかったけれど、いい夢をみられたんじゃないかしら。夫は今頃、新年のシャンパンでも開けてるのかな?お風呂から出たら電話してみよう。
冷えた身体はすっかり温まった。バスタオルで雫を拭う姿が洗面台の鏡に映っている。
胸は重力に負けつつある。いや、まだまだ張りはある!母はかなり腰が曲がってきた。私も母のように、腰が曲がるまで長生きするんだ。
さっきまで着けていた、ダサダサのブラジャーが脱衣カゴにだらしなく横たわっているのが目に入る。こんなのを思い入れが無いまま漠然と着けていてはダメだ。
私はそのダサブラと、洗濯が済んで干してあった同じ柄・色違いのブラジャーを2枚纏めて、洗面所のゴミ箱へ投げ込んだ。
>今日の料理「車海老の煮方」 動画更新時刻 1月2日18時02分